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第14話
「仲が良いのはいい事だけど、次からは、美術の授業も真面目にするようにね」
「「はーい」」
「それじゃあ、気を付けて帰りなさい」
「「はーい。失礼しましたー」」
戻ってきた田中てぃーちゃーに、ももチャンと一緒にさよならを言って美術準備室を出た。
「じゃあ、私も部活があるから」
「うん」
俺は帰宅部だけど、ももチャンは書道部に所属。
「しっかり、雅実君に注意しといてよ!あと、寺島君も!」
「らじゃー!」
「じゃあ、また明日ねー」
「ばいばーい」
抜かりなく俺に"雅実&寺島観察"を指示し、可愛く手を振って去っていったももチャン。
「さてと…」
俺も雅実を待たせてるから、さっさと行ーこお。
「それにしても…んー寺島もかぁ……」
さっき、ももチャンが言ってた事が気になる。
――寺島君は"雅実君に対してだけ"距離感が近い人――
ももチャンに言われるまで気にも留めなかったけど…。
ホント、寺島はやたら雅実に引っ付いてるイメージ。
最近のお昼のときもそうだ。
梅雨入りして、雨の日が続いたとき。
いつもの屋上ではなく、互いの教室でお昼を過ごした。
俺と雅実は必ず対面で机を合わせる。
こういった場合、三人目は、机を縦にして、2つの机の横にくっつけるように配置するのが普通だと思う。
でも、寺島は雅実側に机をずらしてくっつけてた。
4日間ともそうだった。
俺の教室でも、雅実の教室でも。
思い返せば、心なしか、席も若干雅実よりだった気がしないでもない。
そして、自分のお弁当を食べ終わると、必ず雅実のおかずを拝借していた。
当たり前ような雰囲気だったから、気にしてなかったけど……。
寺島の行動は、友達にしては少々おかしいのかもしれない……。
そして、いつもと違う雅実……。
………。
……。
…。
うん。
まさと、ちょっと、分かったかも。
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