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第13話
「ちょ、何で呼んでくれなかったのぉ!」
「ももチャン!!しーーーっ!!」
「あ、ごめんごめん」
放課後、ももチャンと罰掃除中。
田中てぃーちゃーは、美術準備室の掃除を言い渡すと、すぐに出て行った。
ただ、隣りの美術室には美術部員がいるので大声は禁物。
部活生の邪魔をしたらいけません!
「雅実君にばかり注目してたけど…やっぱり寺島君も怪しいわね」
「あやしい?」
「寺島君の情報も雅実君と同じくらい徹底した方がいいか…」
一人でブツブツ言い出したももチャン。
俺そっちのけですか。
ついで、罰掃除もそっちのけですか。
「ねー、何が怪しいの?」
ももチャン、俺は口だけじゃなくて、ちゃんと手も動かしてますよ。
デッサン用のヴィーナスちゃんを拭き拭きしながら再度聞く。
「寺島君の行動よ」
ホントに罰掃除を放棄したな、ももチャン。
「寺島の行動がどうだっての?」
「ほかの友達に対しても、雅実君のときみたいに距離が近いのかなぁー、と思って」
「んー、どうだろ?今は、見かけるたび雅実と一緒だけど、1年のときはいつも友達が数人いたし、ほかの友達に対しても同じなんじゃない?」
「雅人、それは違うわ」
「?」
「寺島君自ら友達の方に近づいているのか、それとも友達の方から寺島君に近づいているかで、話は変わってくるわ」
「と言いますと?」
「寺島君自らの場合だったら、寺島君は"誰に対しても"距離感が近い人。でも、友達の方からだったから、寺島君は"雅実君に対してだけ"距離感が近い人」
「……そう言えば、俺に対してはボディタッチしてこないなぁ」
「えっ、雅実君にはボディタッチするの?!」
グイッと詰め寄ってきた、ギラギラももチャン。
ボディタッチって表現がマズかったか。
「う、うん。やたら雅実のこと触ってる。っていうか、ひっ付きたがってる。お昼は必ず雅実の隣りで、すぐ雅実にちょっかい出してるし」
「ま、まじかぁ…」
口元を押さえて考え込むように下を向くももチャン。
「ももチャン?」
「ということは…、雅実君の一歩通行じゃなくて…」
「ももすけー」
「コレは…もしや…両片想い……」
旅立ったももチャンは暫く帰ってこない…。
やっぱり俺ひとりで罰掃除ですか…。
トホホ…orz
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