18 / 77

第18話

雅実と寺島の両片思い説が濃厚かぁ…、と思いはじめて早数日。 もう見慣れた"雅実にべったりな寺島"から、特に変化のない日々。 やっぱり両片思い説は違うのか?、なーんて思ってる今日この頃。 「クンクン…今日のご飯は…揚げ物?トンカツ?!」 塾の追試から帰ってくると、いい匂いが玄関まで漂っていた。 え、何で俺だけ追試かって? そりゃあ~、雅実はできた兄ですから。 頭のつくりもいいのですよ。 こういうときは、できた兄を持つと辛いよネ~~~。 靴を脱いでバタバタとキッチンに向かう。 「おかえり」 「ただーいま」 キッチンの扉を開けると、雅実が揚げ物をしていた。 「今日のおかずはトンカツだよ」 「やっぱり!!そうかと思った!!」 「それより、雅人、手洗いうがい」 「はーい!」 しっかり返事をして、洗面所に向かう俺。 もはや、雅実はお母さんです。 「なぁ、それ、ミルフィーユのやつ?!」 手洗いうがいをし終えて、再度キッチンへ。 お皿の準備をしながら、雅実に聞く。 「うん。チーズと大葉のもあるから」 「ヤターーー!!」 俺が盛大に喜ぶと、"子どもか!"と笑いながら突っ込む雅実。 だって、ミルフィーユトンカツ大好きなんだもん! な・の・で、つまみ食いだー!! 「ん?」 「もーつまみ食いしにきたか」 雅実には俺の行動がバレているようで、"まだ熱いから"と苦笑いでたしなめられる。 うん、そう。俺、つまみ食いしに来たんだけど……。 「なぁー、今日のトンカツ、量多くね?」 黄金色のトンカツが、こんもり。 いつもの倍以上ある。 明日のお弁当用を入れても、これは多すぎる。 「俺、ミルフィーユトンカツ好きだけど、こんな食えないよ?」 俺が好きだから、多めに作ったのかなぁと思って何の気なしに雅実に聞く。 「ん、雅実?」 ちょっとモゴモゴしている雅実が目に入る。 「あ、えーっと。こ、コレは寺島の分も入ってて……」 ……え。 「てらじまぁー?!」

ともだちにシェアしよう!