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第18話
雅実と寺島の両片思い説が濃厚かぁ…、と思いはじめて早数日。
もう見慣れた"雅実にべったりな寺島"から、特に変化のない日々。
やっぱり両片思い説は違うのか?、なーんて思ってる今日この頃。
「クンクン…今日のご飯は…揚げ物?トンカツ?!」
塾の追試から帰ってくると、いい匂いが玄関まで漂っていた。
え、何で俺だけ追試かって?
そりゃあ~、雅実はできた兄ですから。
頭のつくりもいいのですよ。
こういうときは、できた兄を持つと辛いよネ~~~。
靴を脱いでバタバタとキッチンに向かう。
「おかえり」
「ただーいま」
キッチンの扉を開けると、雅実が揚げ物をしていた。
「今日のおかずはトンカツだよ」
「やっぱり!!そうかと思った!!」
「それより、雅人、手洗いうがい」
「はーい!」
しっかり返事をして、洗面所に向かう俺。
もはや、雅実はお母さんです。
「なぁ、それ、ミルフィーユのやつ?!」
手洗いうがいをし終えて、再度キッチンへ。
お皿の準備をしながら、雅実に聞く。
「うん。チーズと大葉のもあるから」
「ヤターーー!!」
俺が盛大に喜ぶと、"子どもか!"と笑いながら突っ込む雅実。
だって、ミルフィーユトンカツ大好きなんだもん!
な・の・で、つまみ食いだー!!
「ん?」
「もーつまみ食いしにきたか」
雅実には俺の行動がバレているようで、"まだ熱いから"と苦笑いでたしなめられる。
うん、そう。俺、つまみ食いしに来たんだけど……。
「なぁー、今日のトンカツ、量多くね?」
黄金色のトンカツが、こんもり。
いつもの倍以上ある。
明日のお弁当用を入れても、これは多すぎる。
「俺、ミルフィーユトンカツ好きだけど、こんな食えないよ?」
俺が好きだから、多めに作ったのかなぁと思って何の気なしに雅実に聞く。
「ん、雅実?」
ちょっとモゴモゴしている雅実が目に入る。
「あ、えーっと。こ、コレは寺島の分も入ってて……」
……え。
「てらじまぁー?!」
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