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第52話

只今、お昼の12時5分。 俺とももチャンは、図書館の資料室。 本棚と本棚の影に隠れて、息を潜め、二人が来るのを待っている。 「雅人、もうちょっと詰めれない?」 「こ、これ以上は、む、無理だよ、ももチャン!」 色んな意味で……。 男の方なら分かるでしょう。 好きな子との密着……。 しかも、ももチャンの2つの大きなモモちゃんが……。 ももチャン、察しておくれよぉ~~~((泣)) ――ガチャガチャ―― 「シッ、雅人!」 扉の鍵を開ける音に緊張が走る。 ――ガラガラ……―― ゆっくりと引き戸の扉が開く。 俺とももチャンは、本格的に息を潜める。 先に雅実が、少し距離を取って寺島が資料室に入ってきた。 室内が少し暗いため、イマイチ二人の表情は読み取れない。 ――……ガラガラ…カチャ―― 鍵を閉めたのは寺島だった。 雅実が振りかえって、寺島を見る。 いや見るというより、対峙しているという表現の方が正しい。 とても、"今から告白する"という雰囲気ではない。 ドクッドクッドクッ…… 自分の心臓の音が、二人にバレるんじゃないかってぐらい煩い。 「えーっと、突然、こんな所に呼び出して、ごめん…」 静かな資料室に、さして大きくない雅実の声が響く。 「て、寺島、お」 「待った!」 緊張した雅実の声を遮るように、寺島がストップをかける。 ――……フーーーッ―― 今度は、寺島の深呼吸が響く。 「雅実、俺はあなたのことが大好きです」

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