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第6話

 共に過ごした日々をこの数十年を振り返り、草間は最後に微笑んだ。  「白亜……」  今際(いまわ)の言葉は声にならない声だった。けれど白亜の耳にはしかと届いた。感謝と愛と伝える心の声だった。  誰よりも優しい男と誰よりも寂しがり屋の男、寄り添い生きてきた。動かなくなった愛しい男の亡骸を胸に抱き白亜は転じて竜となり、天翔け雷雨を呼び寄せた。  雷鳴轟くその夜に天を裂く雷を見たと人はいう。  竜の伝説残るその山に忘れ去られた神社がひとつ。  風吹く夜には寂し、寂しと木々が泣く。 【完】

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