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【番外編】Will you be my valentain?
2月のとある金曜日、朝からクラスの女子達にお菓子をもらってニコニコしてる創と不機嫌な継を後ろから見ていたら、なんだか俺にも飛び火してきた。継のヤキモチに巻き込まれるなんて、たまったもんじゃない。
とりあえず女子にもらったチョコを口に突っ込むと、なんとなくあいつを思い出す俺はきっとどうかしてるんだ。
「ただいまー」
「あら、おかえり。今出来たとこよ」
家に帰ると甘い匂いがする。母さんが毎年俺や双子に作ってくれるチョコのマフィン。焼きたてだというそれをテーブルに並べられたので、上着を脱いで手を洗い、さっそく頬張る。今年のはオレンジ風味でかなり美味かった。
テーブルの向かいに座ってる母さんが、なんかニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「…なんだよ?」
「べっつにー?あ、荷物着いてるわよ」
「は?誰から?」
コーヒーを啜りながら、なんとなく頭に浮かんだ顔を一緒に飲み込む。
ああもう、なんだよ、俺の思考回路に勝手に入り込むんじゃねえよクソっ!
相変わらずニヤニヤしてる母さんにごちそうさん、と礼を言って部屋に入ると、言われた通り机の上に箱が置いてあった。差し出し人は、予想通り俺の頭に浮かんだあいつ。確かハロウィンの時もこんな事あったよな…
カバンを置いて箱を開けると、中には真っ赤な包装紙でラッピングされたものが入っている。それを取り出して、丁寧に包装紙を剥がしていくと、バラの花束を抱えている黒猫のぬいぐるみがちょこんと座っていた。
「んー……?あ、カード」
なんだか意味がわからないまま、同封されていたメッセージカードを開く。
【Will you be my valentain?】
や、わかんねえ。バレンタインになってくれ?いやいやいや、意味わかんねえから。
こんな時はとりあえず調べよう。スマホにその一文を入力して検索。すぐにたくさんのサイトが表示されて、その中のひとつを開いてみた。
「…あんの野郎、キザったらしいんだよ毎回!」
そのサイトは、日本とアメリカでのこのイベントについてを解説していた。目的の一文を見付けると、頬が一気に熱くなる。
握りしめたスマホを操作して通話画面を表示させると、時差なんか考えずにボタンをタップしてやった。
第一声は、もちろん…
『Hello?』
「…Yes,I will」
****
Will you be my valentain?
直訳すると「私のバレンタインになってくれますか?」
向こうではバレンタイン=大事な人、恋人、なんていう意味で使われるそうです。
ということは…?
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