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「お、猫だ」 ぽかぽかと暖かな昼下がり。 白那(しらな)神社に白黒の(ぶち)猫が訪れた。 「(りん)、僕以外の猫など相手にしないでください。しかも、そんな白だか黒だかはっきりしない柄はだめです」 「いいじゃないか柄くらい。一体どんな偏見だ。ほら、こいこい」 燐が手を差し出すと、人懐こそうな斑猫はふんふんと嗅ぎながら近付こうとした。 すると・・・。 「フ───ッ!!」 突然現れた大きな黒猫に威嚇され、飛び上がって逃げて行く斑猫。 (あわ)れ、もう二度と此処(ここ)を訪れる事はないだろう。 「こら(こう)、弱い者虐めするな」 「ぐるるるるる・・・」 大きな黒猫は不機嫌に喉を鳴らしながら、階段の頂上に座る燐の膝に顎を乗せた。 煌が撫でて欲しい時にする仕草だ。 「・・・虐めっ子は撫でてやらんぞ」 「・・・ぅんー・・・」 「・・・・・・猫のふりをしても無駄だからな」 「ぅなー・・・ぉ・・・」 「・・・・・・・・・まったく、仕方のない奴だな」 結局、撫で甲斐のある大きな猫を隅から隅まで撫で回してしまう神さま。 煌は終始、ごろごろと満足そうに喉を鳴らしていた。 「なあ煌、お前は何でそんなに私が・・・その、す、好き、なんだ?」 「なぉおん、なぉ、うなぁーん、なん」 「・・・流石の私も猫語はわからんが、まあいい、聞いたところで恥ずかしいだけだしな」 煌を撫で転がしながら、ふと、もふもふの腹に顔を埋めたいという衝動に駆られる神さま。 我慢する気も必要もないので、遠慮なく猫の腹に顔を埋めた。 「ぅなあーっ」 「んーっ、いーじゃないか減るもんじゃなしに」 抗議の声を上げる黒猫を押さえつけ、もふ腹を堪能する。 ああ、このまま寝てしまいたい・・・と思う燐だったが、残念ながら人化した煌に押し倒されてしまった。 「ぉい、なにを・・・」 「お返しです」 「なっ、着物を脱がすなっ、や・・・っ」 燐の平らな胸を揉み、乳首を舐めて吸う煌。 お返しだと言うが、腹に顔を埋めただけだったのに対し、同等とは言い難い。 「ぁ、んん・・・っ、やめろ・・・っ」 「燐、ここ弄られるの好きですよね。前より敏感になってる。少し大きくなったかも」 「もぉっ、やめろぉっ!・・・ぃ、やぁ・・・っ」 抵抗虚しく、後孔へ指の侵入を許してしまう神さま。 「こっちも、好きですよね」 「ぅ・・・あっ、そこ、ゃめ・・・ひぅぅっ」 何故、弱いと判っていてソコを弄るのか。 「シュ───ッ!」 人形(ひとがた)をやめ、大きな白蛇の姿になる燐。 まさか、煌にこの姿を(さら)す事になるとは。 この姿に(おそれ)(おのの)いているであろうと煌を見ると、一瞬呆けてから、何を思ったか燐の鱗に舌を這わせた。 「───ッ!?」 ざりり、と鱗を逆撫でるように舐める煌。 何故だ、もっと畏れろ頼むから・・・。 「あれ、もう人形(ひとがた)に戻ってしまうんですか?やっと見せて貰えた美しい姿なのに」 「鱗を剥がされそうで恐い・・・」 神さまが、この猫に勝てる日は来るのだろうか・・・。

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