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第7話

人並みに経験済み── 晶のこの言葉に郁人は軽くショックを受けた。そりゃ晶は男の自分から見てもいい男だし頷ける。それでも自分の知らない男にこうやって体を許したのかと思えばどうしたって嫉妬心が湧いてしまう。郁人は付き合っている相手に対しこんな気分になったのは初めてだった。 晶に服を脱がされる。メイクの口紅が薄ら残るその唇で、勃ち上がったペニスに口付けた。 「凄い……ちゃんと勃ってる。気持ちいい?」 恍惚な表情を見せ、晶は煽るように郁人を貪る。晒された下半身に顔を埋める勢いで腰を揺らしながら口淫する晶に、堪らず郁人は腰を引いた。 「何? もうイきそう?」 「違う……なんかやだ。俺がする……」 嫉妬心もさることながら、何故かイラついていたのは「リードしてやる」という晶の言葉。手慣れた感じがわかってしまうのがどうしても嫌だった。 「晶の体、よく見せて……」 そう言って郁人は勢いよく晶の下着を剥ぎ取る。お返しと言わんばかりになんの躊躇もなく目の前の晶自身を口に含んだ。 「え……嘘、待って……あっ……郁人……あっ……んんっ」 突然の快感に晶は堪らず声を上げる。晶は然程快感に弱くなく、行為の最中も滅多に声も漏らさない。寧ろ声を漏らすのは恥とさえ思っていた。それなのに呆気なく喘がされ、おまけにすぐに郁人の口内に吐精した。郁人はそんな晶を見ながら、満足そうに手に取ったティッシュに口の中のをそっと吐き出す。晶は恥ずかしさでまた両手で顔を覆った。 「信じらんねえ……お前なんなの? 男は初めてとか言っていきなりフェラとかびっくりだよ」 「ふふ……晶可愛かった。俺全然平気。寧ろ早くヤらせろって感じ……俺だけにトロトロになって。俺以外にはそんな顔見せないで」 郁人はグッと晶の肩を押し、無遠慮に尻の割れ目に指を這わす。晶は驚いたけど郁人は本気なんだとやっと理解し、体を委ねた。ローションをたっぷり纏った郁人の指がゆっくりとそこへ侵入してくる。男は初めてだと言っていたくせにまるで嘘のように郁人は晶に快感を与える。好きな人からの愛撫がこんなにも気持ちが良いなんて知らなかったと、晶は喜び郁人に抱きついた。 「ねえ、晶っていつもこんななの? 可愛い……マジで駄目、嫉妬する……でも慣れてんなら遠慮なくやらせてもらっていいんだよな?」 郁人は手慣れた様子でさっと自身に避妊具を装着し、晶の腰をぐっと抱えて一気に貫く。郁人は快感を貪るように息を荒らげ腰を打ち付け、その予想以上の荒っぽさに終始晶は啼いて喘ぐことしか出来なかった。 事が終わり放心状態の晶に郁人はデレデレと纏わりつく。食われるんじゃないかと思うくらいあちらこちらにキスをしてくる。付き合うとこんな風になるのかと晶は郁人を見て可笑しくなった。それと同時に嬉しくてしょうがない。 「嘘….…みたいだ、幸せすぎる……嬉しい」 「だから! そういうところ……知らなかったよ。なんなの晶、そのギャップ」 普段のクールな一面が嘘のように可愛く喜ぶ晶に郁人は只々目尻が下がる。 「……だって言ってないし」 そう言って悪戯っぽく笑う晶に、改めて郁人は「大好きだよ」と囁いた。

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