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第1話
10月31日ハロウィンまで一週間を切った頃。
ある目的を達成する為綿密に作戦を練っている人物がいた。
名前は幸田瞬助。医大付属高校に寮から通っている学年で成績トップ10常連の秀才。
爽やかな黒髪で、前髪は少々長めの短髪ヘア、長身で綺麗に整ったイケメン顔は、クラスの女子の人気をかっさらって行くほど。
全てを持って生まれたかのような瞬助だが、たった一つある欠点、それは時々ぶっ飛んだ思考にたどり着く俺様な性格。
そんな瞬助の意中の相手が、寮の同室でクラスメイトの楠木昴治。
混血児らしいその姿は自然な薄茶髪に長めのサラサラショートヘア、男子にもかかわらず瞳は大きくぱっちり二重の女顔。身長も小さい為、ぱっと見女子に見えてしまう。しかし、意外とすぐ手が出る凶暴な一面もあって、やや意地っ張りで現実派な性格の為、度々瞬助の突発的発案に呆れたり振り回されたりしている。
そんな可愛いコウジと毎日一方的にラブラブで過ごしている瞬助だったが…
付き合いだして考えついた、コウジにして欲しいリストの中で達成出来ていないことが何個かあった。
そのひとつが、コスプレをさせること。
目立つのが大嫌いなコウジは、派手な格好をなかなかしてくれない、クリスマスでもサンタコスを拒否られ、夏祭りでも浴衣(女物)を拒否られ、残すはハロウィンでコスプレさせるしかない!
そう意気込んで作戦を立てている瞬助。
今までの経験からコウジに単独でコスプレさせようとしても断固拒否されるのは目に見えている為、コウジのお兄さん繋がりで仲良くなった、年上のヨシと年下のルードに、事前に協力を頼んでいた。
仲間で集まってハロウィンパーティで全員仮装すればコウジも逃げられない筈。
集団の力を借りてコウジをコスプレさせるため、瞬助の意図はバレないようにコウジをハロウィンパーティに誘う。
「ハロウィンパーティ?」
「そ、ルーとヨシさんと、お兄さんやカレシさんもたぶん誘ってくれるから」
「え、」
また何を突然言い出すのかと顔をしかめるが…
「10月31日に菓子持ち寄って、みんな仮装して騒ごうって、ルーが飯も作ってくれるらしいし!せっかく誘ってくれたんだから行こうぜ!」
誘われてるってことにした方がコウジが了承しやすいと思って言い回しを工夫する。
「……うーん」
「ちなみにヨシさんち借りたから、」
「また勝手に、迷惑にならないの?」
「大丈夫!ヨシさん一軒家だし、今は一人暮らしだから、少しくらい騒いでも問題ないって、だから行こうぜ!」
「でも、」
「みんな集まるんだし!街行くよりはいいだろ?」
いいよどむコウジにチャンスとばかりに押しまくり…
「う、ん、まあそれはそうだけど…」
「じゃ、決まり!約束な!」
そう畳み掛け笑顔でウインクなどしている。
「もう、勝手…」
「俺だからな!じゃ31日はそのつもりで!」
半ば強引に約束を取り付ける。
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