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第2話
そうして一週間が過ぎて、ハロウィン当日。
学校から帰ってきた瞬助が何やら大荷物を抱えてきた。
「ちょ、何これ?」
「ん?今日のパーティで着る仮装用の衣装、みんなの分」
「どうしたのこれ」
「演劇部の知り合いに借りた」
「えぇー」
「ちゃんとお前の分もあるからな」
「本格的すぎでしょ、耳のカチューシャくらいのつもりだったのに」
「みんな仮装するんだから、お前だけやらないわけにはいかないからな!」
爽やかな笑顔を向けて念を押す。
「もう、本気?」
「俺も仮装するし、楽しもうぜ!」
「っていうか僕の衣装はどんなの?」
「さあ?行ってからのお楽しみ!そろそろ迎えくるから出ようぜ」
「はぁ」
とことんマイペースな瞬助に大きなため息をついてしまう。
ハロウィンパーティ、迎えはヨシに頼んでいて、みずきとアキラ、ルードを拾って買い物した後、瞬助たちの寮に迎えに来てくれる手筈。
そうしてみんなと合流する瞬助とコウジ。
「みんなお久しぶりっすー」
瞬助が明るく声をかけて、全員と挨拶を交わし合う。
運転手は唯一、免許と車の所持者の北上ヨシヤス。高身長のイケメンで慣れた人にはワイルドだがやや人見知り傾向ありの短黒髪青年だ。
「すみません、瞬助が無理言ってしまって」
家にお邪魔させてもらうので、申し訳なくて、ヨシにコウジは謝るが…
「いや、別に」
コウジが未だに苦手なヨシは短くぎこちなく答えるが…
「そうそう、ヨシ寂しがりやだからみんな来て嬉しいって思ってるから気にしなくていいよー」
代わりに返事をするのは、助手席にいる最年少の金髪青眼、一見外国人かのような風貌の撰都ルダーク通称ルード。アメリカンな容姿だが日本育ちである。
中学生にして既に180センチ近くある身長とモデル並みのすらっとした体型、目立つ金髪は襟足を少し伸ばした長髪。既に家を出て一人暮らしをしている自立心の強いムードメーカー。ヨシとは昔ちょっと関係を持ったことがあるが、今は友達付き合いをしている。
「でかいくせにビビリだからな」
三列目に乗っている、一見、外国の美女風な人物が、からかうようにポソッと呟いて笑う。
コウジと同学年の異母兄弟、兄の楠木アキラだ。
淡い栗色の髪に、小顔で深緑の綺麗な大きい瞳。髪は肩より少し長めで一つに結んでいる。身長はコウジとそんなに変わらず小柄だがアキラの方が少し高い様子。進行性の不治の病を発症している。
「んだと、」
その呟きにはイラっとして言い返すヨシ。2人は犬猿の仲だ。
「まあまあ、イライラしないで久々にみんな集まったんだから楽しもうよ」
「そうだな」
ヨシはスルーしてまとめるルードに頷くアキラ。
その成り行きをアキラの横で見守っている青年。
キャラの濃いメンバーに押されて、発言の機会を逸しているのは、アキラに長年一途に片想いしている1番年長者の鈴鹿みずき。
性格は普段おとなしくこのメンバーの中では存在感は薄い。
染茶髪、ややつり目で無愛想な為、一見強面だが、口下手で優しい性格の青年。
合わせて6人集まってハロウィンパーティ開催となった。
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