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第1話
僕は愛されない子供だ。
大人しい性格、そして地味な見た目と容量の悪さが気に入らなかったのか、母親に嫌われる原因となり、父親は元々、子供に興味がない人だったので、家の中に誰も味方がいない。
学校でもそうだ。僕には友達がいない。それどころか、いじめられていた。
視聴覚室へと向かう途中だった。クラスメイトに教材を取り上げられ、それを取り返そうとした時だ。足を踏み外して階段から落ちて怪我をした。
怪我自体は擦り傷と打撲で済んだけれど、その相手というのは父親の会社の取引先で、友達同士がふざけていて怪我をしてしまったということになった。
しかも、怪我の心配をするよりも周りの反応が気になる母親は、僕がとろくて隙があるからだと罵る。
マンションの一室と大学までの学費を与えるかわりに家を出ろと言われた。
もっとはやくそうしてくれたら、母も僕にいちいち腹を立てることもなかっただろうに。
学校も二学期がはじまるのに合わせて転校した。
そんなこともあり、人と付き合うことが怖くなった。関わらなければ攻撃されないですむ。
故に新しいクラスメイトが話しかけてくれても仲良くすることはなかった。
はじめは物珍しさもあって話しかけてくれたクラスメイトも反応のない相手にすぐに関心をなくしていく。
昼はご飯を食べてぼっとベンチに座り過ごす。授業が終わると誰も待つ人のいないマンションに真っ直ぐ帰り、食事をして寝る。毎日、それの繰り返し。
僕に話しかけてくる人はいない。それが楽だと思いながら、視線の先は友達と遊んでいる人達の方へと向いていて、本当は羨ましいんだろうと心の中で別の自分が囁く。
自分の気持ちすら拒否することができず、怖くなって身体を小さく丸めた。
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