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第2話
今日もいつもと同じ。そう思っていたのに、誰かが僕の視界をさえぎるように立つ。
見上げると同じ二年である深い緑色のネクタイが目につき、そして端正な顔たちの男と視線がぶつかる。
「君はいつもここにいるな」
話しかけられて、驚いて喉がつまる。
顔を背けて身体を縮こめて警戒する僕に、まいったなという呟きが聞こえた。
「別にいじめるわけじゃない。僕は五組の高沢 だ。君は?」
と尋ねられたが、僕は何もこたえずに相手が諦めて去っていくのを待つ。
暫くすると、ため息が聞こえて離れていった。やっとあきらめてくれた。
だが、それが始まりだった。次の日も、また次の日も、しつこく声を掛けてくる。その度に自分自身を守り続けてきた。
名は確か、高沢だったか。
どこかで聞いたことのある名だと思っていたら、教室で話していた女子のグループからその名が出てきた。
「高沢クン、今日もカッコいい」
二階の窓から校庭を眺め話している。窓際の席なのでそちらへと視線を向ければ、ジャージを着た生徒が見えた。
毎日顔を見せるのですっかり覚えてしまった。
あの顔が、真っ直ぐに目を向けて話しかける。女子はきっと黄色い声をあげるだろうが、僕にとっては居心地が悪いものだった。
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