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第3話

 高沢は懲りずに話しかけてきて、クラスメイトはすぐに諦めてくれたのに相当しつこい性格をしている。 「一組の冴木(さえき)っていうんだな。二学期に転校してきた、と」  僕が何も答えないから、自分で調べたのだろう。  そんなことを知ってどうするのだろう。僕は仲良くする気がないのだから。  無視しても高沢は気にすることなく一方的に話していく。 「十月にハロウィン仮装パーティがあるって話は聞いたか?」  担任からチラシを貰っていていたので知っている。  参加者は仮装をするらしく、自由参加と書いてあったので行くつもりはなかった。  イベントには無縁な生活をしてきたので、特に楽しみだとはおもわないからだ。 「俺、イベントの手伝いをしているのだが、冴木にも手伝ってもらえたらなと思って」  顔を背け興味がないことを示すが、 「頼むよ。ランタン作り、一人なんだ」  と手を掴まれて、いきなりのことに驚いて、おもわず大きな声が出た。 「何するのっ」  その手を振り払うと自分の手を握りしめると高沢を睨むが、何故か嬉しそうな表情を浮かべていて、意味が解らない。 「やっと声を聞けたな。いくら話しかけても無反応だったから」 「あ……」  関わりあいたくなかったから無視していたのに。つい、触られて反応をしてしまった。  なんか、ずるい。 「絶対にやらないから」  これ以上、話をしたくはない。立ち上がると高沢から背を向けて教室へと戻った。

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