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第101話 愛月徹灯

悠ちゃんや拓真が、肉と野菜を次々と僕のお皿に入れるからつい食べ過ぎてしまって、動けないくらいにお腹がいっぱいになった。 僕以外の三人は、僕の倍の量は食べていた筈なのに、「後でアイスを食べよう」と信じられないことを言ってる。 イスにもたれて目を閉じる僕の傍に悠ちゃんが来て、僕の頰をスルリと撫でた。 「玲も、大好きなアイス食うだろ?」 「…食べたいけど、もう入んない…」 薄く目を開けて、小さく声を出す。 「おまえ、そんなに食ってたか?まあ、いつもよりは頑張ってたようだけど…。おまえは少食過ぎて心配になる。じゃあ、アイスは明日にしよう」 「悠ちゃん…食べないの?」 「だって甘いだろ?おまえのから一口もらうつもりだったんだ」 「そうなの…?じゃあ明日一緒に食べる」 「おう。なんか、マジで辛そうだな。涼!玲を休ませたいから先に中入るわ」 悠ちゃんが僕の手を握り、涼さんに向かって、大きな声を出した。 「わかった。火の始末だけしたら、俺らもすぐ入るから。玲くん、大丈夫?」 「玲…、俺が玲の皿にドンドン入れたから…っ。俺も玲の傍に…」 「おまえは最後まで涼を手伝え。ほら、玲立てるか。抱っこするか?」 「大丈夫…。歩ける…」 心配そうな顔でこちらに来ようとする拓真の腕を、涼さんが涼しい顔をして、しっかりと掴んでいる。 僕に向かって手を伸ばす拓真に力無く笑うと、悠ちゃんに肩を支えられて、家の中に入った。 僕をソファーに座らせて、悠ちゃんが隣に座って僕の肩を抱き寄せる。 「どうだ?吐きそう?」 「ううん…。悠ちゃん…、僕、煙くさいからお風呂入りたい」 「でも苦しいんだろ?入れるのか?」 「苦しい…。けど匂いも気になる…」 「…よし。俺も一緒に入って洗ってやるよ」 「……えっ?」 「ちょっと待ってろよ」 僕をソファーにもたれさせて、悠ちゃんがウッドデッキに出て行く。すぐに入って来て二階に上がり、二人ぶんの着替えとバスタオルを持って戻って来た。 そして、僕の腕を引いてお風呂場へ向かった。

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