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第1話

†  †  †  † 「…わかったか?もうお前ら(やみ)の奴らの好きにはさせねぇからな。これからは俺たちゼロがトップに立つ」 そう言って鼻を鳴らし馬鹿にしたように笑った17~8歳くらいの大柄な少年は、それまで両手で掴んでいた相手の襟首を放り投げるように離した。 手が離された瞬間、ドサッと地面に崩れ落ちる身体。 かなりの暴行を加えられ、もう既に自力で動ける状態ではないようだ。その口元は切れ、赤い血が顎まで伝っている。 薄暗い月明かりの中よく見れば、顔全体が赤黒く腫れていて、目を開けている事も辛いだろう様相。 そんな様子の相手を冷酷な眼差しで見下ろした少年は、おまけとばかりに更にその脇腹につま先で蹴りを追加すると、フンッと鼻で笑って後ろに控えていた仲間と共にその場を悠々と歩き去っていった。 「…クソッ…卑怯者が…。…覚えてろよ…」 地面に横たわりながら、歩き去る相手の後ろ姿を薄っすらと開いた目で追った人物は、血の混じった唾と同時に負け犬の遠吠えともとれるような言葉を吐き出した。 そして、痛む体を堪えながらジーンズの尻ポケットに入れてあった携帯を取り出してディスプレイを確認する。 明かりが点き、どうやら壊れていないようだとわかると、腫れた顔を僅かに安堵に緩めてどこかに電話をかけ始めた。 「…もしもし……(イチ)?…上の人間に…伝言…頼む…」 『は?ヒロシだろ?何死にそうな声出してんだよ』 「…冗談言ってる…時間は…ない…。…ゼロの奴らに…卑怯な手段で、闇討ちされた…、そう言ってくれ…」 『は?ゼロの奴らだ?!闇討ちって何だよ今更。…冗談だろ?…もしもし?…もしもし?!ヒロシ?!』 「………」 携帯の向こうから必死に名を呼ぶ友人の声を聞きながら意識を失ったヒロシと呼ばれた少年の手からは、それまで握りしめていた携帯がコトリと地面に転がり落ちた。 †  †  †  † ― 裏高楼街における禁止事項 ― ・表裏高楼街においての銃器・薬物売買の全面禁止 ・裏高楼街の出来事を表高楼街に持ち込むことを禁ずる ・裏高楼街で起きた傷害事件を表沙汰にする事を禁ずる ・派閥に属する事ができるのは、13歳~19歳までの少年のみ。それ以外は認めず ・派閥に属する者は、ヤクザの構成員(準構成員含む)に属する事を禁ずる ・派閥に属する者は、裏高楼街での金銭がからむ利益が生じる行動を禁ずる ・派閥に属する者は、警察機関との一切の関わりを禁ずる

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