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その1:敵陣に乗り込みましょう
「俺の人生、23歳で終わるのかよ!!」
数少ない荷物が入ったバッグを持ちながら、今まで住んでいたボロいアパートをバックにはじめは叫んでいた。
今日の朝、唯一続いていたバイトをクビになった。クビになった理由はよく分からない。失敗もしていない、バイト仲間同士いざこざがあったわけではない。それでもクビになった。何度目なんだろうか。理由も分からず、バイトをクビになるのが。
帰ろう。ボロく、ピューピューすきま風が入ってきて冷たい部屋だが帰ろう、我が家に。そう思って帰りついたのに、すぐに管理人のおばさんに追い出された。そしてイマココ状態である。
どうする、どうする。このままここにいても、犬の散歩をしているおばちゃんに変な目で見られるだけだ。
ひとまず、バイト先と住む家を探さなければ!!
意気込んだはじめが、うおぉぉぉぉっと言いながら走っていると輝くアルバイト募集の張り紙を見つけた。
実際に輝いているわけではないが、はじめの目には輝いて見えた。何故か?それは、張り紙にこう書かれていたからだ。
【日給5万円。住み込み家政婦のアルバイト募集中】
「俺、家事得意!!しかも住み込み!!キタコレ!!!」
すぐさまはじめは、張り紙に書かれている電話番号に連絡をした。すると、数分で黒塗りの高級車がはじめを迎えに来た。
うっそ!高級車!金持ちキタ!!と思っていたはじめは、自分が不運と言うことを忘れていた。
黒塗りの高級車が向かったのは、この地域では有名なヤクザの組の屋敷。はじめがあれれ?と思った時には、もういろいろと手遅れで。
はじめを迎えに来た男に、屋敷のある部屋に通された。
そこには、イケメン男前が着物を着て座っていて。
「いらっしゃい、佐藤はじめくん。よく来たね」
はじめを怖がらせないように、優しく言ったつもりだろうが。
その部屋一面に、はじめの隠し撮り写真が何枚も貼られていた。
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