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最低辺の

「……ちょっと、アンタ。また寝てるの?だらしない」 「んー…」 30前にして未だ独身、そして哀しいかな彼女なし。 やりたい事も特になければ、これと言って他の人に自慢できる特技すらない。 親の稼いだ金で怠惰な日々を送り、親の持ってくる求人情報を何となく眺める毎日。 高塚正人は、人間のクズ度合いで言ったら、最低辺にいるのでは…といった人生を今後も送り続けるのであろうと半分鬱になりながらも 永遠に続いていきそうな灰色の毎日にどう抗う事もせず、今日も夕方近くまで枕に顔を埋めていた。 「……だらしない、かぁ」 いやいや、流石にそんなことは気が付いていますよ、自覚あります。 目を輝かせ、これからの未来に期待で胸を一杯に膨らませていた、高校時代が懐かしい。 三流、とは言えども、大学も入れたしまだその頃は、もうちょっとマシな人生──今日とは違う人生を送れそうな感じだったのに 気が付けば講義に出なくなり、そのままそろーっとフェードアウト。 ならばどうだと就職活動を試みるも、大学もろくに続けられない豆腐メンタルは数年で簡単に変わるわけでもなく、気が付けば親のすねをかじるニートになっていた。 周りから就職しろ、とか嫁はまだか、なんて言われすぎて耳にたこができそうにもなった。 悠々自適ニート生活開始!なんて言ってもそんなに楽なものではない。 一応まだほんのちょっと存在しているらしい俺の罪悪感は、たまに俺を無意識に襲ってくる。 しかし、そんな俺を支えてくれたのは たった一人の女の子だった。

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