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1-出会い

千年に一度生まれてくるという森羅万象(しんらばんしょう)の力を授かりし聖なる少女。 世紀末、世界を牛耳ろうと世にも奇怪なクリーチャーを生み出すマッドサイエンティスト集団に果敢に立ち向かうお助けスーパーヒロイン。 その正体は極一部の人間にしか知られていない……。 「一日でいいんだって、お願い、海!」 行楽日和のカフェテラスにて。 双子の姉の(そら)に手を合わされて弟の(かい)は困り果てた。 「でも、空姉ちゃん……僕、その、森羅万象のパワー? とか……持ってないです」 「そんなん知ってる。別にマッドネスと戦えって言ってるわけじゃないし。ちょっとしたPR活動に顔出してほしいだけ!」 「……どうして僕が?」 「私は追試とかぶっちゃった」 森羅万象の力を授かりながらも知能指数は恐ろしく低い空、彼女こそ、何を隠そう世紀末お助けスーパーヒロインの正体。 市民が知ればがっくりすること間違いないだろう……。 「マッドネスの実験体を退治するのに忙しくて勉強なんてできないもん。でもこの追試を落としたら平日毎日補講決定。てなわけで、海、よろしく」 顔を隠すために普段はトンボ眼鏡をかけている空はウインクする。 前髪で顔の上半分を隠した海は逆らえない姉の頼みごとにこっそりため息をつくのだった。 PR活動の内容は幼稚園児たちと芋掘り大会に参加するというものであった。 こ、これなら僕でもできるかな……? 「海君は喋らなくていいからね!」 「全部私たちに任せて!」 マッドサイエンティスト集団<マッドネス>と戦う度に街を破壊し、都市に損害を被る空には強力なスポンサーがついている。 幅広い分野で活躍する超大手企業がそれであり、企業は街の修繕のため費用や人員を出し、代わりに彼女はマスコット的存在として時にスポンサーのためのPR活動を行っているのだ。 「よ、よろしくお願いします……」 ヒロイン=空だと知る敏腕マネージャーたちに支えられて海は芋掘り大会へ向かうのだった。

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