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extra 2 限界を超えて

 僕の恋人は、有り得ないぐらい可愛い。  確かに、身長は僕より高い(但し、体重は僕より軽い。簡単に転がせるくらい。腰も驚く程細いし)。顔も、どっちかと言うと強面な方だ。三白眼気味だし、髪はさっぱりと短くて。全体的に見ても、まあ、その辺に居る普通の男だ。  でも、何と言うか、仕草や態度、それから僕に対する反応や発言がいちいち可愛いのだ。僕が、この僕が、心底参ってしまうぐらいに。 「ゃ、あっ、あっ、」 「ナ~オ。分かる? 指が、ナオのナカに入っているの」 「ひうっ、ゃら、駄目っ!!」  うつ伏せにして、ナオの秘所に指を突っ込んで、ぐりぐりと遠慮無く前立腺を刺激して遣る。面白いぐらいに、ナオは身体を跳ねさせた。口からは甘い声が漏れている。おまけにだらだらと涎まで垂らしていて、何と言うか、ぞくぞく、する。嗜虐心が、煽られて。 「嫌、じゃ無いでしょ? こう言う時は、何て言うの?」  言葉が口から勝手に溢れていた。  断じて、僕は、サディストでは無い。多分、ナオもマゾヒストでは無い。だけれど、ナオとセックスする時は、いつも、何故か、僕は、自分の中の嗜虐性を刺激されてしまう。 「ナオ? 言ってごらん?」  強く擦っていた指先を、ずるり、と抜いて、ゆっくり突き入れて遣る。 「ゃぁんっ!」  僕の優しい愛撫に、ナオの口からは、明らかに高らかな嬌声が上がった。とぷ、とナオのペニスからも汁が漏れ出るのが見えた。と言うよりは、もう、薄緑色のソファーカバーはびしょ濡れだった。これは気分転換に別の色に変えちゃおうかな、なんて頭の隅で考える。 「ナ~オ? 言えるでしょう?」 「ぁぁん、は、はぃっ、き、気持ち、良いですっ……」  もう一度抜いてから突き入れて遣ると、途端にナオの唇からは、可愛い言葉が零れ落ちた。ぞく、と背筋が震える。もっと、と何処かで声がする。 「ナオ? 今、何本、咥えているか、分かる?」 「ひぁっ、やっ、あっ……」  態とゆっくり指先を拡げて回しながら、抜いて、それから突き入れた。ナオの身体が、また跳ねる。ナオの、低い癖に甘い声が耳に入ると、喉が渇くのが分かって、僕は口の中の唾液を掻き集めて、ごくり、と飲み込んだ。 「ナ~オ?」  呼び掛けると、ひくり、と震えながら、ナオは指を三本立てて見せた。勿論、僕は、それでは満足なんて出来なくて。 「ナオ。ナオの、何処に、何が、どれだけ、入っているか、言ってごらん」  親指で淵を擦りながら、ナカに入れてある三本も、同時に動かす。僕は、割と大雑把な方だけど、こう言う時は、器用に動けるものなのだ。ナオのナカが、うねって、もっと欲しい、とでも言うように、僕の指に絡み付いて来る。ああ、本当に何て素直で可愛い身体なんだろう。 「ナオは、本当に、素直な良い子だね。下のお口は上手に言えたから、ほら、ちゃんと、その、可愛い上のお口でも言ってごらん」  促すように反った背中をナカに入れている物とは反対の手で撫でて遣ると、びくん、と大きく震えて、ナオは益々背中を反らした。うん、女豹のポーズみたいで、僕が大好きな姿勢だ。 「ぁ、ぁ、ぅ、お、俺の、アヌスに、」 「ナオ!」  ぴしゃり、と打つように声を掛ける。僕は、もっと、違う言葉が聞きたかったのだ。 「ぁ、ぉ、お、しりの、穴に、」  ナオの顔が真っ赤に染まっていた。 「うん」 「ミツキ、さんの、指が、さ、三本、入って、ぃて、あっ、気持ち良い、ですっ」  途切れ途切れになりながらも、ナオは言い切る。真っ赤に染まった頬を、つう、と雫が垂れて行く。僕は、手を伸ばして、それを拭って口元まで運んだ。塩っぱい味は、何故か甘露のように感じる。もっと、もっと、と何処かから声が響いていた。 「ふふ、良い子だね、可愛い子だ、ナオ。じゃあ、この後、どうして欲しいかも、勿論、言えるね?」  僕の口からは勝手に言葉が漏れていた。ああ、しまった、と思う。ちゃんと口を閉じておかないと、どんどんエスカレートしそうだ、と。ぐ、と奥歯を噛み締める。  それなのに。 「ぁ、はっ、はいっ……ミツキ、さんの、太い、ぉ、おちんちんで、俺の、お、しりの、穴を、めちゃく、ちゃに、突いて、くださいっ!」  ぞわり、と背筋が震えた。びくん、と身体も震えてしまう。気持ち的には、極まっていた。身体は、全く、元気なままだったけど。 「ナオ……」  僕が、震える声でナオを呼ぶと、ナオはその三白眼気味の小さな瞳を僕の方に向けた。虚ろな色合いは、焦点が合っていなくて。 「ぁ、ぁっ、ミツキ、さんの、太い、ぉちんちん、で、ぉ、れを、イかせて、くださぃっ!」  瞬間、僕は、ナオの唇を自分の唇で塞いでいた。無理やり押し入って、歯列も、口蓋も、舌も、全部、舐め回し、しゃぶって、唾液を押し込んだ。 「飲んで」  唇を少し離して、低く伝える。ごくん、と大きな音が聞こえて、思わず唇が緩んだ。ふふ、と知らず声が漏れる。 「滅茶苦茶に、されたいんだったね?」  ナオは、今度は、小さく、こくん、と頷いただけだった。そのいとけない姿に、僕は、煽られてしまう。  手早くナオのナカから指を抜き取ると、窮屈なジーンズの前立てをくつろげ、下着をずらす。ぼろん、とナオが言う所の、僕の太くて長いペニスは飛び出した。自分で言うのも何だが、僕は巨根だ。今まで付き合って来た子には、結構、ドン引きされる事もあった(勿論、その全てを技術で満足させて来たけど)。だから、今までは、奥の奥まで、入れる事は、しないで来た。  だけど。 「奥まで、欲しいかい?」  すり、と先をナオのアヌスの淵に当てて遣る。きゅう、とナオの素直なアヌスは、僕のペニスを飲み込もうと蠢いた。本当に、可愛くて、素直な身体だ。 「ナオ、言ってごらん」  ペニスの先で、アヌスの淵を軽く擦る。それだけで、ナオは蕩けた。 「ほ、欲しい、です! ぉ、奥まで、突いて!」  叫ぶように言われて、僕は、一気に腰を押し当てた。ずぼおっ、と間抜けな音を立てながら、僕のペニスが飲み込まれて行く。ごん、と何かに当たる感覚がしたが、そこを無理やりこじ開けた。ナオの身体は、驚く程、素直に、開くのだ。 「ひあああっ!!」  泣き叫んで、ナオは、びくんびくん、と身体を震わせた。喜ばしい事に、ナオのペニスからは、何も出ていない。ナカの刺激だけでイったのだ。ドライオーガズムだった。搾り取るようなナカの動きに、ぐ、と奥歯を噛んで、快感を遣り過ごす。暫く待つと、やわやわとした動きに変わる。僕はナオの耳元にめいっぱい近付いた。 「もうちょっと、奥まで、入るよ?」 「ぁゃ、っ、やっ、こわ、こわぃっ……」  ナオの手が、何かを求めるように、ふらふら、と宙を彷徨う。僕は、その手に指先を絡めてあげた。強張っていたナオの口元が、ふ、と緩む。ナカは、逆に、きゅ、と僕のペニスを絞った。 「くっ、は……本当に、ナオの身体は、素直で、可愛いね……」  ナオの耳に息を吹き掛けるように囁くと、ふるふる、と震えながら、ナオはまた柔く僕のペニスを締める。本当に、何て可愛い身体だろう。  ぐ、と更に押し入ると、ぱん、と音がした。僕の睾丸がナオの尻に当たった音だった。 「ひぃぃぃっ!!」  ナオの身体が大きく跳ね上がる。口からは悲鳴が漏れていた。でも、そこには苦痛だけじゃなくて、快楽も確かに滲んでいて。ああ、と思う。本当に、全部、入った、と充足感と多幸感で、胸が満たされる。 「奥、まで、入ったよ……」  教えて遣ると、ナオは、しっかりと閉じていた目蓋を必死に開けて、僕をその瞳に映した。 「す、好きぃ、ミツキ、さん、……すきぃ……」  舌っ足らずなナオの声が耳を打って、僕は余りの幸福に、目眩すら覚えた。 「僕も、ナオを、愛しているよっ」  言いながら、腰を穿つ。ナオの口からは引っ切り無しに嬌声が漏れ、身体がその度に跳ね上がっていた。連続絶頂しているのは、ナカのうねり具合から明らかだったが、僕は、腰を動かすのを決して止めなかった。この先に、きっと、何かがある、と思ってしまった。 「ナオ、ナオ、可愛い、僕の、僕だけの、ナオ!!」  何度も何度も腰を押し付けて、擦り付けて、それから、ナオの健気に震えるペニスを掴んで、軽く扱いて遣る。 「んっ、イくよ、ナオっ、ナカに、出すよっ?」 「あああああ!!」 「くぅ、はっああっ!!」  ぐ、と今まで以上に腰を突き入れて、ナカにたっぷりと精液を注ぐ。ああ、心地好い。そう思った時だった。ぴしゃ、と手の中に何かが掛かる。ナオもイったのか、と思って、手を見ると、そこに精液は無くて。ぞくん、と背筋を何かが伝う。 「ナオ?」  呼び掛けても、ナオはただ震えるだけで。もう一度、見遣る。ナオのペニスは力を失っていたが、その先から垂れていたのは、透明な液体だった。ああ、と思った。潮、だった。ナオは、潮を吹いたのだった。 「ナオ。可愛いナオ、素直で、本当に、素晴らしい身体だね……」  自然と、僕の口からはナオを褒める台詞が零れていた。濡れた手でも、頑張ったナオの頭をそっと撫でて遣る。びくびく、とナオが震えながら意識を手放すのを、僕は、途轍も無く優しい想いを胸に抱きながら、ただ、見ていた。

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