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弟康介

弟の康介も高校生活に慣れてきた頃、高校に入学してまわりに感化されたのか何やら色気付いてきたらしく、康介に最近やたらと纏わりつかれる。 服はどこで買ってんのか? どこの美容院がオススメか? 髪染めるの自分でもうまく出来るのか? 兄貴はいつもどこで遊んでんのか? 女の子ナンパした事がある? ……毎日毎日、鬱陶しいったらない! 今日は土曜日。 これから支度をして圭ちゃんと買い物。そして夜はライブの予定。部屋で支度をしていたら、また康介が部屋に入ってきてしまった。 「なぁ、兄貴。兄貴ってよく夜遊びしたり帰ってこなかったりするけど、どこ行ってんの? なにしてんの?」 ああ、また始まったよ…… 質問ぜめだ。面倒くせえな。 「俺だって友達と遊んだりすんだよ。康介お前、友達いねえの? 俺、これから出掛けるから忙しいんだよ…… 早よ出てけ」 適当に返事をしてたら、康介が変に食いついてきやがった。 「ねえ! これからどこ行くの? 遊びに行くなら俺も連れてってよ! ねえねえ! お願いっ」 はぁ? 何言ってんだコイツ。面倒くさいな。そもそも俺がデートならどうすんだよ。って、デートだから無理なんだけどさ。図々しいったらない。 「お前…… 本気でクラスに友達とかいないのか? 大丈夫か?」 ……この懐きっぷり、だんだん心配になってきた。 「友達くらいちゃんといるよ。でもさ、みんな子供っぽいんだよ」 「………… 」 なんだよその言い分。お前も十分子供っぽいから安心しろ…… 「ねぇ! そんなにお洒落してさぁ、兄貴カッコいいんだもん。俺も連れてってよ、ね? 一回だけでいいからさあ」 「は? ……カッコいい? ふうん……」 そこまで言われたら、しょうがないか。康介の気持ち悪いおべっかも、まあ悪くはない。 「これから友達のバンドのライブがあんだよ。お前も行くか?」 そう聞くと康介の目がキラキラと輝いた。 「ねえ! もしかしてさ、そのバンドってD-ASCH ?」 なんだよ、知ってんのか。 「そうだよ。康介知ってた?」 「知ってるも何も、学校内で有名じゃん! 兄貴メンバーと知り合いだったんだ! スゲー! 俺もライブ行きたい! 連れてってよ!」 結局康介にガッツリと食いつかれ、俺は康介と一緒にライブハウスへ行く羽目になった。 「とりあえずこれから出掛けるから、……夕方帰ったら一緒に連れてってやるから待ってろ」 そう話して俺は家を出た。

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