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不屈のラブファイター 23【最終話】

 暁の腕力は強い。そこそこの体格にそこそこの力のある伊織にも、抵抗することは不可能だった。こんな力があるのなら、これまでの数々の伊織の加虐行為だって、きっと避け、止め、反撃することだってできたはずだ。  こいつ、やっぱり相当の変態だな。 暁が伊織のすべてを甘んじて受け入れていたのには本当はもっと別の理由であることを伊織はわかっていたが、認めたくはなかった。本当は、もっと別の…  考え事をしている場合ではなかった。抱かれてたまるか。いつの間にやらシャツの中に手が入ってきていた。伊織はおろそかになりかけていた抵抗を再開した。 絶対に抱かれてたまるか。俺は抱くほうだ。 他人にいいようにされてみっともなく痴態を晒すなんてこと、あってたまるか―― 「おい、いい加減はな……あッ」  二人の動きが停止した。伊織の顔は真っ赤。暁の指が伊織の胸の尖りを掠めたときのことだった。 「伊織さん、今……」 「うるさいうるさいうるさい!」  憎たらしいほどにニマニマする暁の背中を伊織がグーで殴りつけた。 「俺で感じてくれてるんでしょ、嬉しいです。もっと感じて、伊織さん……」  存分にみっともなく痴態を晒しまくり、伊織はベッドで動けなかった。 あんなにかたく誓ったのに。 体は憶えているものだ―― 「良かったでしょ?」  なぜこんな奴に腕枕なんかされてるんだ。 こんな思い込みの激しいバカ丸出しの馬鹿力ででっかいサルみたいな…… 「……うん」  どれだけ心の中で毒づいてみても、体は正直だった。久々に抱かれる快感に、全身が悦んでいた。やっぱりどうあがいても、自分は抱かれる側なんだと少しばかり落胆したその時。 「でも俺、伊織さんに抱かれるのも悪くなかったよ」  暁がにっこり笑って言うではないか。 あの、愛情のあの字も快感のかけらもないセックスの何が良かったって……? 「だから、またたまにしよ?」 「……ああ」  暁の筋肉質でカチカチの腕が何故か酷く心地良くて、伊織は間もなく眠りの淵へ引き込まれていった。 【一旦、完】

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