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Don't Be 13【完】
「みのりーん、こっちにいるの?」
いつも美術室に遊びに来る生徒が準備室に足を踏み入れるや否や、悲鳴をあげた。
声を聞きつけて職員室からも何人もの教師が集まって来る。野次馬の生徒たちも集まってきたが、教師が近寄らせなかった。
べっとりと血に染み込んだソファ、その上に仰向けになって首あたりを真っ赤に染め絶命している美術教師、その上には大事なものを守るように、亡骸に覆いかぶさり横たわっている生徒が一人。
すぐさま救急車と警察が来て、学校はパニックになった。もちろん伊織は警察へ連行された。
状況から見てどう考えても殺人罪になるはずの伊織は、裏から金と圧力が動いて、稔に乱暴されそうになったところ抵抗した際の正当防衛、という話に収まった。刺された上に濡れ衣まで着せられて、稔も浮かばれない。
誰かのものになってほしくなくて、自分だけのものになってほしくて、あんなことをしたけれど、自分だけのものになんてならない。それどころかもう稔に会うことも、声を聞くことも、触れることもできないのだ。
「先生……」
どうしてこんなことになってしまったのか。あんなにみんなから好かれている先生じゃなくて、みんなから嫌われている自分が死ねばよかった。
すべて、今更何を言っても遅いのだ。
当然さらに家の者からの風当たりは強くなるし、もちろん学校へも行けなくなってしまった。
またひとりぼっち、みんなからの嫌われ者に戻っただけのことだ。すべて今までと変わらない。
また、モノクロの世界に戻るだけ。
【Don't Be 完】
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