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Don't Be 12
久しぶりに美術準備室を訪れた。ノックをしても返答がないため、ドアを開け中に入る。稔はソファで仮眠中だった。試験前は忙しくて寝る間もあまりないこともある、と聞いた気がする。
しばらくぶりの稔の顔を間近で眺める。
僕以外の誰かと、話しちゃ嫌だ。
僕以外の誰かを見ちゃ嫌だ。
どうして僕1人のものにならないんだろう。
ねえ先生、どうしたら僕だけの先生になってくれるの…?
他の誰かにとられるぐらいなら。
「……伊織?」
気づけば、泣きながらパレットナイフを稔の首筋に突き立てていた。稔の顔が痛みに歪んでいる。
「えっ、嘘っ?!せ、せんせっ」
伊織は慌てふためいたが、
「伊織がそうしたいんなら、構わない。ずっと辛かったんだろう?」
こんな時まで優しく微笑う。伊織は何と言っているかわからない叫び声をあげた。
「大好きだよ、伊織。幸せになるんだ……」
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