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第1話

ルンルン気分で今日1日だけ働くことになったバイト先に京介は行った。たまたま見つけた高額時給のバイト。それは、ハロウィンパーティーの給仕のバイトだった。 高校卒業後、就職活動に失敗してから36歳の今までバイトだけで生活してきた。だからこそ、今回見つけた高額時給のバイトは京介には嬉しい収入だったのだ。 しかし、バイト先に行って手渡された制服を広げた瞬間京介は後悔することになる。 「すんません。これは、この制服は、何かの冗談ですよね」 「いえ。冗談ではないですよ。それが、今回のハロウィンパーティーの給仕の制服です」 パーティーの主催側、アルバイトの雇い主でもある男がニッコリとした笑顔を浮かべて言い放った。 冗談だと言ってほしかった。しかし、言ってくれなかった。 手渡された制服。それは、バニーボーイの衣装、しかもお尻部分に穴が開いているものだったのだ。 「あの、これパンツ見えるやつですよね」 「え?何を言っているんですか?ノーパンで穿いてもらうので、パンツは見えませんよ」 「その代わり、ケツが丸見えじゃないですか!」 「それでいいんですよ。何せこのハロウィンパーティーは、ゲイオンリーのパーティーなんですから」 “教えてませんでしたっけ?” 聞いてねぇよ!と京介は言いたかったが、よくよく履歴書を持っていった時に貰った契約書にはちゃんと書かれてあった。 小さな文字で“ゲイオンリーハロウィンパーティー”と。 『苅田は、しっかり最後まで見ないから失敗するんだぞ』 高校時代の担任の言葉を思いだし、自分のバカさ加減を実感した。

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