2 / 6

第2話

確かに、ちゃんと契約書の隅から隅まで見なかった自分の責任である。少し考えれば、分かることだったのだ。時給1万円なんて羽振りのよさ、何か変な仕事だということに。 「………すんません。どうしても、ケツを隠したいんですけど」 「まぁ、毎年ノンケの方が間違って給仕のバイトをすることがあるんで。その方達のためにこれを用意してますので、こちらを穿くのでしたらお尻は隠せますけど」 そう言って雇い主が差し出したのは、お尻部分にクマのイラストがプリントされた下着だった。幼女が穿くようなパンツ。 そのパンツを雇い主から受け取り、京介は本気の本気で悩んでいた。生お尻を見せるか、クマさんを見せるか。 悩んだ末、京介は決めた。 クマさんのイラストを、穴から覗かせることに。 ある意味で生のお尻を見せるよりも恥ずかしいかもしれないが、処女を奪われても保証はしませんと契約書にこれまたちっちゃく書いていたのだ。パンツを穿いていた方が大丈夫かもと、京介は考えたのである。 おっさんが、幼女が穿くようなパンツを穿いている。それに、こんなセクシーなバニーボーイの衣装が自分に似合うとは思っちゃいない。 しかし、京介は覚悟を決めたのだ。時給1万円の為に。 「おや、衣装もクマさんのパンツもよくお似合いですよ」 バニーボーイの衣装に着替えた京介を見た瞬間、雇い主は褒めてくれた。 「言われても、全然嬉しくないですよ」 「まぁ、とにかく。こちらとしては、給仕の仕事をしっかりとしてくださったらそれでいいですから」 「がんばります」 「では、パーティー会場に案内しますので。こちらへどうぞ」 雇い主が案内してくれると言うので、手でしりを隠しながら京介はついていった。

ともだちにシェアしよう!