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第3話
「どうぞ。ここが、パーティー会場になります」
京介が連れてこられたのは、すっごい豪華なドアの前だった。俺今から、こんな格好でこんな場所に入るの!?とドアを開けていないのに思ったほどだ。何せ京介は、穴の開いたバニーボーイのズボンの衣装から、可愛いクマさんのイラストが顔を覗かせているのだ。
本当は逃げ出したい。しかし、お金のため、生活のためにここは頑張るしかないのだ。
京介は深呼吸をして呼吸を整え、あまり音をたてないようにドアを開けた。
ドアの向こうは、キラキラと輝いていて、たくさんの人がいた。もちろん、全員男である。魔女とかのコスプレをした人もいるが、全員男だ。
雇い主に言われた仕事は、会場をウロチョロして、パーティー客の頼みを聞いておけばいいと言われていたので、京介はあまり目立たないようにソッと歩いていた。
自分と同じバニーボーイの制服を着た奴らがいたが、全員京介みたいにパンツは穿いていない。そして、嬉々として客に尻を触らせてる奴らもいるのを見た。
ヤバイ。これはもしかして、自分も客に頼まれたら尻を触らせないといけないということかと、京介は身震いした。
しかし、すぐ自分のことを思い出す。自分は、どこにもいそうな平凡なおっさんだ。そんなおっさんを、こんなきらびやかとした世界に生きる奴らが好きになるわけないと。
だから油断して、スキップする勢いで楽しそうに歩いてしまった。すると、そんな京介の後ろにある1人の男がいつの間にかたっていた。
「あっれー?給仕さん、パンツ穿いてるぅ?」
京介の後ろに立った男は、どうやらすごい寄っているらしく。京介がパンツを穿いてると知ると、大声で言いふらした。
京介はその瞬間、恥ずかしいという気持ちと怖いという気持ちが一気に押し寄せてきた。
本来、尻を見せないといけないのだが恥ずかしくて隠しているし。そして、もしかしたらノンケである自分が紛れていると知られて、ゲイをバカにしていると勘違いされるんではと怖くなった。
「ちょ、あの、」
「うわー!こいつ、幼女みたいなパンツ穿いてるくせにすっげーおっさん!それに、絶対ノンケでしょ。おしり、隠してるし~」
酔っぱらいは、大きな声で京介のことについて叫びまくる。京介が、もうどうすればいいか分からずパニクっていた時だ。その酔っぱらいを殴る奴が現れた。
「さっきからさ、すっげーうっさいんだけど」
酔っぱらいを殴った奴。褐色の肌に、高身長で上半身は裸。ズボンに付けられたふさふさの尻尾と、一部に赤が混じった黒髪の頭に付けられた耳でオオカミ男のコスプレをしているということだけ京介は分かった。
まぁ一言で言えば、かっこいい男が京介を助けてくれたのだ。
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