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第1話
周りの喧騒が遠くに聞こえる、身体は麻痺したように何も感じない。周りを少し見てみる
(…真っ赤だな)
誰かが俺の近くで叫んでる。大変そうだなと俺は他人事のように思いながら意識を失った。
次に目を覚ました時。叶汰は不思議な場所にいた。地面は雲のようになっているのに歩けるし立てる。空は薄くピンクと空色だ。
「ここ…どこだ?」
呟きながら歩いていると。白い光の塊が自分の近くにやってきた。
「やぁ、おはよう」
と呑気に挨拶までする始末、叶汰はここがどこかを聞こうとする前に、その光の塊は語りだした
「ごめんよ、いきなりこんな場所に連れてきてしまって。まずここはどこかだね、ここは君たち人間が言うところの天国…とでも言うところかな?」
天国…。
「…俺は、死んだのか?」
「ご名答、車に引かれて即死さ」
「…そうか」
どうやら自分は死んで天に昇ったようだ。理解するとスっと身体の中に現状が入ってくる。
「理解が早くて助かるよ、そこで君にもう1回、今度は別の世界に行って欲しいんだ」
…?。今度は入っていかなかった。この光の塊は今なんて言った?
「…えっ?」
「うん…だよね、普通そんな感じだよね~」
困った。とでも言うような声色で話す光の塊。別の世界ってことはつまり…
「転生という感じか?」
「まあ…そうなるかな?」
やっぱり君は理解が早くて助かるよ。と言う、まあほとんどゲームの影響なんだが。本当に現実(と言ってももう死んだのだが)になるとは。
「君にはちょっと申し訳ないことになるから、せめて能力はチートにしておくし、どうかな?」
いい話だと思うよ。という光の塊、よくある話だ。異世界転生はチートである。どうせなら他(2次元)のような激しい生活ではなく…
「静かにのんびり暮らしたい、不老不死で」
「もちろんいいよ、簡単さ」
楽しんできてね、第2の人生。その言葉を聴きながらまた意識が薄れていく。
(あっ…何か動物と関われるような場所でって言うの、忘れたなぁ)
また1人かな、と考えながら意識は消えていった。
「…」
暖かい、ここはどこだろう。ふんわりと優しいそよ風に吹かれながら叶汰は倒れていた。とっても広い草原だ。周りは森が囲んでいる。真ん中にはひとつの家、なんとも言えない普通の大きさ。近くにはスライムのようなものがぴょんぴょんしている。
「…ここ、あの異世界か」
とうとう来たのか。鏡は今ここにはないので自分の姿は分からないがだいぶ小さい。中学一年生位では無いだろうか。服は…なんというか、やはりここが自分が前まで居たという場所ではないのだと思い知らされる服だった。さっきまでそこら辺でぴょんぴょんしていたスライムがこちらへ近づいてくる。
ぴょんぴょん
「…えっと…こんにちは?」
とりあえず挨拶をすると嬉しそうにしていた。
(ここのスライムは顔があるんだなあ)
と考えている間、スライムはずっと自分の周りを飛び回っていた。このイベント…もしや
「…お前、仲間になりたいのか?」
するとスライムは頷くような動きをする。自分もしたい気持ちは山々なのだがやり方がよく分からない。こちらに来る前に神様(あの光の塊)が言っていた
「とりあえずステータスメッセージオープンって言えば自分のステータスが出てくるから頑張ってね」
というのを試してみることにする。
「ステータスメッセージオープン」
さっと自分の目の前に出てきた薄い板のようなもの。(ホログラムのような)そこには
(まあ…普通?)
と言えるようなものが書いてあった、よくあるゲームのステータスだ。この世界の基準はよく分からないが多分自分と同じ位だろう。と考えながらとりあえず使えそうなものを使っていった。
「えっと…意思疎通?」
と、魔法を使ったかも分からないような感じで発動する。
(初めて人とあった!この人も初めてみたいだしなぁ…仲間になりたいって言ったけど…この人やり方分かってなかったりするのかな)
(すまん全くその通りだ)
と考えながら、スライムにやり方を聞いてみる
「ああ、そうなんだ。君はやり方を知っていたりしないか?」
(!?、えっと、僕?)
「うん、君」
(…)
「?」
急に黙り込んでしまったスライムを待っていると
(僕初めて人とお話したよ!君僕の言葉が分かるんだね!?)
「いや、と言うよりは…」
意思疎通を使ってる、と言う前にスライムが喜んでいたので水を差すのもなと思い止めた。
(で、やり方だよね!)
「ああ、分かるか?」
(もちろんだよ!ケイムって唱えてみて!)
「分かった」
少し集中して、静かに唱えた
「ケイム」
すると、スライムとの間に青白い光を纏った糸が出てきて、スライムと叶汰を繋ぐ。
(これで完成!今日からよろしくね!えっと…)
(あっ…名前どうしよう、叶汰でいいか)
「俺は叶汰だ」
(分かった!よろしくね!カナタ!)
「よろしく」
(僕のことはスィムって呼んで!)
「分かった、スィム」
(わーい!)
こうして、俺の異世界生活はスィムと共に静かに始まったのだ。
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