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《新たな場所へ》

卒業式も無事過ぎた三月のある日…。 叔父の健次の病院に、持病の検査のため入院していたアキラ。 検査結果も出て、薬の変更があり体調も落ち着く… 同時にBOUSとの話もまとまる。 やや肌寒いが明るい陽射しが降る晴れた日…。 アキラは、住宅街を送られた地図を片手に一人、歩いている。 退院後から移り住むことになった、オレを買うとか言ったヤローと、これから初対面する。 BOUSの社長の話から、その男について少し情報は入った… AV、ゲイVideo会社と、ホストクラブ、数店舗を持つ若社長らしい… 37歳、独身…性格は温厚で紳士…。 後悔はあるけど… こうなったら諦めるしかないから… 気に入られなければ期間短縮されるみたいだし… それを願うしかない…。 「ここか…」 7階建てのマンションを見上げながら呟く… 指定された場所… 静かに歩いていき玄関ホールへ入る。 警備員のような男が1人立っていたが…アキラに会釈をしただけで特に何も言わない… 「最上階の部屋…」 とりあえず、呟きながらエレベーターを探して乗り込む… 最上階に彼がいるらしい。 7階につくと、ドアがひとつ目にはいる近づいてインターホンを押そうとするが… 「ようこそ、サクヤ…開いているから、中へどうぞ」 押す前にインターホンから、そう呼び掛けられる。 「……」 アキラは頷いて… ゆっくりと中へ入っていく… 広い廊下… 贅沢なつくりの室内を歩いていき…リビングらしき場所にくる。 「はじめまして…よくきたね、サクヤ…こちらへ」 椅子に座っていた男が立ち上がり言葉をかけてくる。 黒いスーツを着た…落ち着いた感じの成人男性。 ホストの社長をするだけあって、なかなかカッコイイ… 「ハジメマシテ…」 アキラは探るように相手を見て、一応挨拶する。 「会えて嬉しいよ、君の出演したBOUSROMは全て購入させてもらっている…実物は、映像より綺麗だ」 アキラ近づきながら話す男、背は高い方だ… アキラの前へ来ると、すっと手を差し出し…握手を求めてくる。 「私は、フミヒコ、本名は別にあるが…普段からこの名を使っている。君も本名を名乗る必要はない、私と過ごしている間はサクヤでいてくれ…」 穏やかに話すフミヒコ…

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