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第5話

「あぁ、BOUSのコたちは、それぞれに重い悩みを抱えて生きているからね…私はその全てを理解した上で、付き合っていきたいからね、今までにも、多重人格症で苦しんでいたコも…人を殺めてしまったというコもいた」 静かに伝えるフミヒコ。 「……」 「…私が関わると決めたコは、どんな個性をもっていようと、拒絶せず、すべてを受け入れようと思っているからね」 「そうゆう、こと…完璧人間な性格なんだ…」 アキラの呟きにクスっと微笑み… 「でも、今までに…一人だけは数ヶ月すらもたず帰してしまったコもいるけれどね…」 「…え?誰、どうして…」 その言葉には興味をひかれ聞き返す。 「…今もBOUSで撮影助手をしているルキ、あのコも欲しかったんだけどね」 「ルキ先輩が?」 その名前はよく知っていた。 いつも優しく世話をしてくれる、現役時代は受専門の可愛い先輩だ。 「そうだよ。あのコの心の傷は、私一人で拭いきれるものではなかった」 「……」 「自傷、わかる?」 「自分で自分を傷つけること…」 「そう、ルキは幼い頃体験した悲惨な出来事のせいで、激しい自傷を繰り返すようになり、BOUSに入る前はずっと精神科に入院していたそうだ…」 「……」 「病院からBOUSに移り、しばらくするとその自傷行為はおさまった、なぜかというと…自傷の原因を解消できたから…」 「原因…」 「…あのコが自傷する原因は…孤独。少しでも寂しいと感じたら無意識のうちに身体をかなぐったり噛んだりぶつけたり…止まらなくなる…」 「うそ…」 つい呟いてしまう。 自分の知っている穏やかなルキとは掛け離れていたから… 「私も、はじめて聞いた時は信じられなかったが…。ルキは特別に、現役の頃からBOUSに住み込んでいた為、毎日誰かから声をかけられ触れられ、仕事もある。それがルキが生きるために必要なことだった」 一度息をついて、振り返るように話し出す。 「しかし、私の用意した生活では、その全てを実現させることはできない…毎日会いに行くことは難しく、電話もすぐに取り次ぐことが出来ない…任せる仕事もない、ルキの生活を全て奪ってしまった…」 「…それで」 いつの間にかアキラは話しにのめり込んでいた。 「そう…、数日して軽い自傷行為がはじまって、対応に困り…私は一番してはいけない対応を、そんなことをしては駄目だよ、と叱ってしまった…。それはルキにも十分わかっている筈だから」 好きで自分を傷つけていた訳ではない。 「…うん」 「そしてあの日、どうしても外せない仕事がありルキに一日、電話をすることが出来ず…仕事が終わり電話をした時には…繋がらない状態で、心配になり急いでルキのマンションに行ったが…」 息をつき重々しく話す。

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