49 / 207

第49話

「…ホント…バカ過ぎ…」 ポツリと零れる言葉… 一途にオレのことだけ… 考えてて…想ってて、救いようがない… 「バカでいいんだ…アキラの笑顔を一番近くで見ていられれば…それに、アキラを退屈させないなら…」 そっと囁くみずき。 「ただ、ずっと一緒に暮らすってわけじゃないからな…」 これだけははっきり言っとかないと…と言葉を続ける。 「えっ…」 「オレが…体調悪くなったら入院することだってあると思うし…ずっと一緒にって訳にはいかない…、みずきが馬鹿なことしないように、お前の常識を叩き直す期間だと思ってるから…」 フミヒコとのこともどうなるか分からないし… みずきの気持ちに流されないように、わざと突き放すように伝える。 「……あぁ、わかってる、身体は大切にしてほしいから」 もちろんと頷く。 どんな理由であろうと、再び一緒に生活ができる、その喜びの方が上なみずき。 けれど…、少し身体を離し瞳をあわせ頼むみずき。 「ただ…俺に黙って出ていってしまうのは勘弁してほしい…それだけは、約束してくれ、安心して仕事も出来ないから…」 それから先の…一緒に暮らしている時、アキラを一人待たせている時間に…アキラがいなくなるかもしれないという不安… それを抱えたまま暮らしていくのは… 「……だけど、みずき…オレが出ていくっていったら反対するだろ…言えないんだよ」 「…病院なら仕方ないけれど、他の理由は無くなったから出ていく必要はないだろ?」 もうタツたちは来ないのだから… 「…根本的な事が…」 ぽそっと言葉にする。 「根本的なこと?それは?教えてくれ…」 アキラが自分を恋人として認められない理由…? 知りたい…。 少しの沈黙の後、アキラは不意にうつむいて言葉を出す。 「……オレとじゃ、絶対幸せになれない、一緒に住んでたら…この先絶対…みずきは苦労するし傷つく…」 固定された暗示をかけられているように繰り返す。 「…そんなことはない」 はっきり否定するみずきだが… 「お前のコト…嫌いじゃないから…それがつらいんだ…」 これ以上…迷惑をかけたくない。 「…アキラ、」 アキラの想いを、その理由を真剣に聞く。

ともだちにシェアしよう!