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第48話

「もう一週間は…バイト組んでいるんだ…こっちから頼んで働かせてもらっているから…すぐには断れない、一週間に一回は、半日休めるように組んでいるし、大丈夫だから…」 みずきは そう説得を試みるが… 「…半日って、お前…」 呆れて言葉がでない。 「…アキラ、」 みずきは気まずくてポソっと呼ぶ… 「よく分かった…お前ほっといたら…無茶しすぎるってこと…身体壊されちゃ困るから…」 アキラはそう溜め息をついて続ける。 みずきを身体的に傷つけないため離れたのに…これじゃ意味がないから… 「……」 「……フミヒコさんがどう言うかわからないけど…、もう…少しだけ、お前と暮らしてもいい…から」 「アキラ!」 アキラの気持ちを聞くことは出来なかったが… 理由は違っても、またアキラと同居できる喜びでみずきの心は急浮上する。 「でも、このままバイト続けるなら…今の話しはナシだから…」 キツく忠告するするアキラ。 「……分かった、アキラが一緒に住んでくれるなら、なんとか、辞めれるものは辞めるから…」 優先順位を考えてみずきは答えるが… 「全部辞めろよ、ただでさえ二つ掛け持ちで働いてるんだから…」 強気で言い切る。 「…夜間の警備や土木は人がいるから辞めれると思う…けれど朝の新聞配達は担当地域の代わりが入るまで難しいから…」 昔世話になった所でもあるし…と付け足して言うみずき。 「…お前、一体いくつ掛け持ちしてたんだよ…信じらんねぇ…」 みずきの言葉を聞いてさらに驚き呆れる。 「…働けるだけ…と思って、そんなに駄目だったか?」 当の本人は…それほど深刻に考えていなかったので、首を傾げて呟いてみる。 「働き過ぎなんだよ、馬鹿!」 本当に大ばかなみずきに、アキラは勢いよく怒り言ってしまう。 「…そうか、そうだな」 みずきは、一瞬たじっとなるが…頷き、なぜかやさしく微笑む… 「笑ってる場合かよ!」 まだ怒りの余韻を残して言い返す。 「なぜだろうな…アキラにバカって言われて、嬉しく思える」 みずきはそう苦笑いしながら… アキラの頬に触れる。 アキラが怒っている理由… それは、自分のことを心配してくれているから… 「は…?」 「がんばって働いた甲斐があった…」 またアキラと一緒に暮らせるし…そうポソっと囁き… 頬にキスを落とし… 愛しくてたまらない…その人を腕に抱き… 唇へとキスを落とす… 甘いキスを…

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