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第47話
みずきはアキラの言葉を優しく遮りながら…
「…アキラ、あの時のことは…アキラだけが悪かった訳じゃない…俺だってアキラに黙って行動した…、それに大元の原因は、ムチャな撮影をするBOUSのやり方だから…」
まだ自分だけのせいと思っているアキラへ…
瞳を重ね…伝える。
「…俺はそう思っているから…アキラも、自分を追い詰めなくていい…」
すっとアキラの髪を後ろへといて…
みずきは優しく掠めるようなキスをする。
「…俺と一緒に来てほしい…」
アキラが答えてくれた…
その居心地の良い場所を喜んで提供する為に…
「…みずき」
複雑に瞳を見返してくる。
「……」
しばらく静かにアキラの答えを待つみずき…
「…あの家には…」
アキラはポツリと呟く…
楽しかった思い出と共に…タツたちに犯された嫌な記憶が残っている。
忘れたくても忘れられない…
「俺のアパート…あの場所が嫌なら、引っ越すことも考えているから…」
みずきはそっと伝える…
アキラはそれを聞いて…
「…そんな、金ないだろ…」
ポツリと呟くアキラ。
「……今の、ペースで働けば…安いところになら、引っ越せるから…」
怒られるかもしれないので、少し言いよどみながら伝える。
「今のペースって?お前ッまだ続ける気か?」
寝る間を削ってまで働いていたみずき。
そんなことを許せるわけはなく…
カッと言い返してしまう。
「……時間が、もったいなかったから…」
答えに迷いながら伝える。
何もせず家に一人でいると…余計、アキラのことを思い出すから…
「……働くにしても、限度があるだろ…お前、睡眠時間を犠牲にしてまで、働くのはダメだ、今すぐ辞めないと話にならない…」
みずきから離れながら…怒ったままアキラはキツく言う。
「……働いていれば…少しは、気が紛れるんだ…アキラがいないと、……それに、何もせず過ごすより、金も手に入るから…」
「……、これ、返すから…無茶なことはやめろよ、分かった?」
溜め息をつき…みずきが持ってきた6万を突き返しながら言い聞かすようにアキラは叱るが…
「……」
今すぐやめろと言われても…予定を組んでいる分は、働かなければ…
「ちゃんと返事しろよ!」
イライラと返事を催促する。
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