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第51話
アキラはクリスマスにみずきの働くコンビニに行ったことがあるから、店長を知っているのだ。
みずきの恋人と知られているから、性別を知られるのは…みずきの体面に関わるから避けたい…
アキラはそう思うが…みずきはさらっと伝える。
「あぁ、それなら…知ってるから」
「え、は?…知ってるって…」
アキラは驚いて聞き返す。
「店長は、アキラが男だって知っているよ、だからそれは気にしなくていい…」
優しく微笑んでいうみずきに…
「…お前、店長に言ったのか?」
「…クリスマスの後、色々聞かれて…そんな深くは話していないけれど…」
「なんでお前?店長、フツーのヒトなんだろ!?」
少し驚いて言うアキラ。
「あぁ…でも軽蔑とか全然しない人だから、その…何かと聞かれるたびに、『彼女、彼女は?』って言われるのが、俺は嫌で…つい」
アキラはアキラ、女じゃないから、聞くたびにアキラを侮辱されているようで、我慢ならなかった。
「ついって…」
長く溜め息をついてしまう。
「すまない…やはり、話されるのは嫌だったか?」
「……、オレじゃなくて、お前は自分がゲイだって思われても平気なのかよ!?」
アキラは直球で問う。
普通言えないだろ、と含んで…
「…嘘はないし…実際そうだから、別に…、それに誰にでも話している訳じゃない、店長だけだから…」
信頼のおける人にしか言っていないと、含んで伝える。
「……」
「アキラ、俺はアキラと付き合っていることが、なにより誇らしいんだ、本当は…皆に言いふらしたいくらい、そんな子供のようなことはしないけれど…分かってほしい、俺の気持ちを…」
男とか女とか性別なんか関係ない…
ひとりの人間としてアキラのことを深く愛しているのだから…
アキラと付き合っていけること、恥ずかしいことじゃない、それどころか誇らしい…
「……、お前の考えてることはよく分かった、けど、これからはもっと自分の体面考えて行動しろよ…」
少し溜め息をついて呆れたまま言うアキラ。
「…アキラ」
「…とにかく!バイトのことも、今日決めたことも、考えるから。お前、今日は仕事休み?」
アキラはみずきから離れてソファに座りながらみずきの言葉に割って聞く…
「いや、今日は夕方からバイトがある…アキラ、さっき…一緒に暮らしてくれるって言ったことは、本当だよな?」
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