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第52話
「だから、それはフミヒコさんに聞いてから」
髪をかきあげながら、みずきを見て続けて答える。
「…ったく、こんなオレと暮らしたからって、何が変わるわけでもないのに…」
世話することが増えるだけだろ…と、アキラは肩を竦めるように浅く首を傾げる。
「アキラ、大違いだから…アキラは俺にとって癒し的存在…居てくれないと困る」
そんなアキラの可愛い仕草に、ちょっぴりドキドキしながら愛しく見つめ答える。
「こうして…アキラに触れて、熱を感じて、言葉を交わす…」
みずきは静かにアキラのそばへ行き…
正面からアキラの頬へ触れて…
「それが…なにより一番、疲れをとる方法だから…」
そっと囁き、顎に手を充て少し上に持ち上げながら、まっすぐ深緑の瞳を見つめ、親指のハラで可愛い下唇をなぞり、そのままゆっくりとキスを落とす。
愛しくて仕方ないその存在に、触れることが出来る喜びを噛み締めながら、優しく頬を寄せる。
「…馬鹿、」
いつものアキラの言葉を聞いて…
微笑みアキラの隣へ座り肩を抱き寄せながら…
再び口づけを仕掛ける。
「っ…ん、」
軽いキスから…深いキスへ…
次第に…胸の鼓動がリズムを上げる。
「ん…っは、」
下はジーパンをはいているけれど、上は素肌に白いカッターシャツのボタンを軽く2、3こ止めているだけのアキラ…
視覚刺激も手伝って、熱い気持ちに流される。
「アキラ…」
起きて慌ててきたため、上半身裸のままのみずき…
アキラを見つめ、名前を囁いて…
トサッとソファにアキラを横にし…瞳を重ねる。
「…アキラ、嫌だったらすぐ止めるから…」
今ならまだ抑えれるから…と添え、そっと囁くみずき。
「……」
嫌なわけないのだけれど…
「アキラ…?」
黙ってしまったアキラを見つめ…もう一度呼ぶ…
「……嫌だ」
試すように呟く。
「……、ごめん」
アキラの拒否の言葉が胸を打ち、一瞬動きを止めたみずきだが、すっとアキラを抱き起こしながら謝る。
「少し、調子にのってしまっていた、アキラに上手いと言われたから…」
想いをはぐらかすように、苦笑いしながら、アキラから手を引くみずき。
「……」
案の定、自分の言葉を真に受ける彼。
「昨日の今日だから、身体しんどいよな…」
そして生真面目な言葉を紡ぐ。
「嘘だよ…ばか、」
いつでも…そう、自分のことより、オレ中心で…
だから当たり前…居心地が悪い訳ない…。
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