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第74話

「……」 また…答え詰まる。 自信を持てるものが…ないから… 「…生活していく上で金銭は大切だ…君の収入で、サクヤに好きなものを買ってやれるのか?援助をしてやれるのか?」 「…っそれは、」 「私は最低でも月30万は援助できる…金銭面で不自由はさせない…」 フミヒコの言葉に愕然とするみずき。 30万、みずきのひと月の給料では足りない額… 「……アキ、サクヤは、そんなこと…望んでない」 苦し紛れに言葉を返す。 「本当にそうかな?言えない環境を君が作っているのではないのか?現に私の与えた金は受け取ってくれている…」 それは金に余裕がないみずきが悪いと決めつけていて… 「…っ、」 「本当に、君は、サクヤに見合う人間だと言えるのか…?」 突き付ける言葉… 「…俺は、サクヤのことを誰よりも愛している。サクヤだけを…、お前のように人を何人も金で買うような不誠実な想いじゃない!」 みずきは、ぐっとなりながらも言い返す… 「不誠実?私はそんなつもりはないよ…君と同じくらい一人一人を純粋に愛している、大切にしている…同時に複数を好きになってはいけないという法律はないからね」 「そんな事っ…」 「…それに、君はサクヤに愛されていない」 「……っ」 「相思相愛ならば何も言えないが…サクヤの心には迷いが見える。君ではサクヤを幸せにすることは出来ない…君は引くべきだ、ユウ君…」 そう念を押して言うフミヒコ。 「…確かに、俺は金銭面でも仕事も…あんたにはかなわない…けど、俺には俺の生き方があって…サクヤは、気にしないと言ってくれた…だから、」 「金がなくてもいいと?サクヤを買う為に支払った金額を教えておこう…1000万…君に返すだけの力があるのか?」 「…一千万、」 再び言葉を失う… 払えるどころか… 未だに父親の作った借金を返している身… 気が遠くなる金額だ… 「サクヤは払えると言っていた…しかし、私はサクヤから一銭ももらう気はない、どういうことか分かるか?」 「……」 「…君が払わないかぎりサクヤの所有権は渡さない」 「……っ払う、時間がかかっても、取り戻す、絶対に引く気はない!」 強く言い切るみずき… アキラのためにも引けない。 それをじっと見つめるフミヒコ。

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