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第130話
「わ…びっくりした、」
ヒヤッとしたみずきだが、当のアキラはのほほんと呟く…
「驚いたのは俺だ、めまいでもしたのか?」
心配して聞くみずき。
「ううん、かかとが滑って…」
「え?」
「これ…」
アキラは笑って足元を指差す。
「水たまりの跡…だな、」
そこには少し深目の水たまりの跡があった…
「アスファルトじゃないからな…道がでこぼこしてたんだ、…オレ、バランス感覚悪いから…驚かせてゴメンな」
微笑むように謝るアキラ。
「いや、なんともないならそれでいいんだが…」
「ん…今度は足元も気をつけるよ…転んだらマヌケだしな」
そう苦笑いする。
「…バランス、とるのが難しいのも病気の影響なのか?」
気になって聞いてみる。
「うーん、バランス感覚は昔から悪いんだ、オレ普通より早く生まれたから…その影響と、歩行が遅れたからかな…」
また歩きだしながら説明するアキラ…今度は足元も注意している。
「歩行が遅れる?」
首を傾げるみずきだが…それに関してはとくに説明せず続ける。
「そう、だからバランスとるの難しいから、歩く時は結構真剣に歩いてないと、気ィ抜くとフラフラするんだ、片足で立つのとか苦手…」
アキラは頷いてみずきに教える。
「そうなのか…」
普段はそんなそぶりを見せないアキラだが、自分達には分からない、色々な苦労があることを再認識するみずき。
「そう、ヨシとか急に引っ張ったりするだろ…気が抜けないからな、だから近づきたくないんだよな」
しみじみ言うアキラ。
「確かに…あいつは突発的に動くからな…」
以前、アキラをヨシが転ばせて叱ったこともあったから…
「まぁ、言ってないオレも悪いけど…人が必死に歩いてるのにアイツ前触れ無く邪魔するし…」
少し怒ったように言うアキラを見て…
「俺からアイツに注意しておこうか?」
分かっていないようだし、アキラに対して乱暴なところは確かにあるから…そう思って言うが…
「いいよ、わざわざ言わなくて、言ってもヨシは本能で動いてるから直んないだろうし」
それに…弱み握られるようで嫌だから…と、含んで言う。
「それもそうか…」
納得して頷くみずき。
「だから、お前は気をつけてくれよ…急に引っ張られたりしたら転ぶから…」
みずきの瞳を見て伝える。
「あぁ、わかっている」
強く頷く…
「まぁ、お前はそうそう乱暴なコトはしないか…、お前だけだもんな‥色々話してるの…」
病気のことを他人に話したのもみずきが初めてで…
それから、他人には話さないようなことを何気に話してしまっている。
それは自分でも不思議なアキラ…
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