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第192話
「それはいい、だがこれからの目標を高くもて、そして達成することに全力をかけろ、優秀な医師になるために…」
悠然と伝えるミツル。
「はい、努力します。ありがとうございました」
そう頭を下げるコウジ。
「…私は本院に戻る」
返事を確認して短く伝えて…
「はい、お気をつけて…」
コウジは深くお辞儀をして、静かに見送る。
そして颯爽と立ち去っていくミツル。
アキラの存在などまったく無視で、瞳を合わせることすらせず、すれ違う。
「なんか…お前の父親って、かっこいい人だな‥背はお前と変わらないのに…」
瞬助は雰囲気だけでもかなり驚いて言葉にする。
「それはそうだよ、お父さんは、難しい手術を毎日して、人の命を救っているんだからね…僕も、しっかり勉強してお父さんみたいな外科医になりたいな…」
「え、お前外科医志望?」
「そうだよ、瞬は?」
「俺は、まだ決めてなかったけど…」
「そうなの?」
「研修医になってから自分にあう科、選ぼうかなって思ってたからな…」
「そっか、そういう考え方の人の方が多いかもね、」
「…俺も、外科医めざそっかなぁ」
「えっ」
「俺が執刀してオマエが助手、二人で手術成功させんだよ、いいなぁ…」
「なんで瞬が執刀医?その時は僕が執刀してるんだからね…」
変な言い合いになっている二人のを置いて‥ルードも感想を口にする。
「…今の、アキラの父親?すごいそっくり…」
何気にいうが…
「…どこが!」
ルードに対しても、本当に気分を害したように言い返すアキラ。
「アキラ?」
アキラの反応に驚くルード。
「……」
アキラは、なんともいえない不快な気分になり俯いてしまう。
「アキラ…行こう」
みずきもアキラの様子が心配だったが、優しく肩に触れてささやく。
「…ん、」
触れてきた相手を見て、少し表情を柔げるアキラ…頷いて歩き出す。
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