6 / 6
親衛隊
そう思っていた矢先、それは起こった。
「田中〜!なんかお前に用だって!」
「え?」
昼休み、廉と昼食をとろうと腰を上げたときだった。
「陸人、ご飯食べよ〜」
「…ごめん、なんか呼ばれた」
「え?誰に?」
「分かんね、とりあえず行って来る」
「待ってよ〜俺もついてく」
「…好きにして」
教えくれたクラスメイトにお礼をし、廊下に出た。
それよりなんか嫌な予感。
当たらないといいけど。
そんな事を考えてる俺に、声がかかった。
「こんにちは。お昼にごめんね?田中陸人くん、だよね?」
「…はい、そうですけど」
ちっちゃ。第一印象はこれだった。
そして顔も女子みたいにかわいい。
ネクタイの色は赤。先輩だ。
俺になんの用だろう。
「あれ?琉弥先輩じゃん!」
「こんにちは、廉様。お久しぶりです」
「…え?お前知り合いなの!?」
「そうだよ〜。瀬川くんの、親衛隊隊長」
…親衛隊隊長…って…
「まさか、制裁…?」
やっぱり朝のことで目つけられたんだ。
「違う、勘違いしないで。僕達はそんな事しないから。話があって来たの」
「話って、朝のことですかー?陸人は瀬川くんのこと知らないって。俺達、ご飯食べようとしてたんですけど〜…ね?」
「うん、そうなんです。…俺、ほんとに瀬川とは関わりないんで…。すみません失礼します」
…廉がいてくれて良かった。
誰にでも自分の意見が言えて、フォローもちゃんと出来るし、空気も読める。
そりゃモテるわ。
「…じゃあ僕も、一緒に昼食食べていい?話し、長くなるし」
「……え?…分かりました。少し待っててくれますか?購買に行って何か買ってくるんで」
「分かった。いつもどこで食べてるの?」
「どこって、化学のーー」
「屋上!屋上でいっつも食べてるんだよね?陸人」
ん?……え、言っちゃダメだったかこれ。
「…はい、屋上で食べてます」
「そう。じゃあ先行ってるから」
「はい〜。分かりました。じゃあ行こっか、陸人」
「ああ、うん」
そんなこんなで俺達は、瀬川の親衛隊隊長、西山琉弥先輩と昼食を食べる事になった。
ともだちにシェアしよう!