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親衛隊

そう思っていた矢先、それは起こった。 「田中〜!なんかお前に用だって!」 「え?」 昼休み、廉と昼食をとろうと腰を上げたときだった。 「陸人、ご飯食べよ〜」 「…ごめん、なんか呼ばれた」 「え?誰に?」 「分かんね、とりあえず行って来る」 「待ってよ〜俺もついてく」 「…好きにして」 教えくれたクラスメイトにお礼をし、廊下に出た。 それよりなんか嫌な予感。 当たらないといいけど。 そんな事を考えてる俺に、声がかかった。 「こんにちは。お昼にごめんね?田中陸人くん、だよね?」 「…はい、そうですけど」 ちっちゃ。第一印象はこれだった。 そして顔も女子みたいにかわいい。 ネクタイの色は赤。先輩だ。 俺になんの用だろう。 「あれ?琉弥先輩じゃん!」 「こんにちは、廉様。お久しぶりです」 「…え?お前知り合いなの!?」 「そうだよ〜。瀬川くんの、親衛隊隊長」 …親衛隊隊長…って… 「まさか、制裁…?」 やっぱり朝のことで目つけられたんだ。 「違う、勘違いしないで。僕達はそんな事しないから。話があって来たの」 「話って、朝のことですかー?陸人は瀬川くんのこと知らないって。俺達、ご飯食べようとしてたんですけど〜…ね?」 「うん、そうなんです。…俺、ほんとに瀬川とは関わりないんで…。すみません失礼します」 …廉がいてくれて良かった。 誰にでも自分の意見が言えて、フォローもちゃんと出来るし、空気も読める。 そりゃモテるわ。 「…じゃあ僕も、一緒に昼食食べていい?話し、長くなるし」 「……え?…分かりました。少し待っててくれますか?購買に行って何か買ってくるんで」 「分かった。いつもどこで食べてるの?」 「どこって、化学のーー」 「屋上!屋上でいっつも食べてるんだよね?陸人」 ん?……え、言っちゃダメだったかこれ。 「…はい、屋上で食べてます」 「そう。じゃあ先行ってるから」 「はい〜。分かりました。じゃあ行こっか、陸人」 「ああ、うん」 そんなこんなで俺達は、瀬川の親衛隊隊長、西山琉弥先輩と昼食を食べる事になった。

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