5 / 6

記憶

「で、思い出したの?瀬川くんのこと」 瀬川が出て行ったあの後、俺達は急いでご飯を食べ、教室に向かった。 あれからずっと考えているけれど、何も思い出せない。 「…いや、なんも」 「ふ〜ん、まぁ陸人友達いないしね!」 「確かに……って失礼だな!言うなよ!」 くそ!何も言えないのが悔しい! 「でも〜〜瀬川くんって結構有名だよ?」 「は?なんで?」 「なんでって、イケメンだから?食堂にはあんまり来ないって噂だったのに、珍しいね」 …だから今日いつもより人が多かったのか? 確かにイケメンだったけど。 てか、そんなヤツと話してたのかよ俺。 最悪だ、平和に過ごしてたいのに。 「絶対、目つけられた…」 「みんなこっち見てたしね〜。どんまい、陸人。でも俺がいるから大丈夫っしょ!」 「…お前といるのもあんまりよく思われてないけどな…。……でも、ありがと。助かりますー」 そう言って頭を下げた。 何だかんだ言って、信頼してるのはコイツだけだし。 「…うんうん、陸人の事は俺が守るから、心配しないで〜」 「おう、頼りにしてる」 とりあえず、あんまり気にしないようにしよう。

ともだちにシェアしよう!