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食堂2
「…分からないです、すみません」
「え?何?陸人の友達?」
「…いや、違う、と思う」
この学校に入学して早一年、俺には友達という友達は廉しかいない。
俺に話しけてきたヤツ、そいつは廉と同類の美形だった。
身長は廉と同じくらいで、髪と目は真っ黒。
見たこともないし、喋ったこともないし、会ったこともない。
人違い…?
「あの、誰かと間違えてないですか?」
「…アンタ、覚えてないの」
「何を、ですか」
「……もういいや。俺、瀬川優。2Cだから。あと何で敬語?タメでいい」
「…え!?ちょっと待って俺話ついてけない!瀬川くん陸人の事知ってるの?なんで!?」
「…誰、アンタ」
「え!?俺のこと知らない!?陸人の事は知ってるのに!?」
「ちょ!お前うるさ!騒ぐな!」
みんなこっち見てるし!
目立ちたくない!
「…えっと、瀬川?ごめん俺記憶力あんま無くて。どっかで会った事あるっけ?」
「……入学式」
「入学式?」
…分からん。…覚えてない。
「…ごめん」
「だから、もういいって。てか早く食べないと授業始まるよ?……じゃあ」
「あ、うん…」
そう言って瀬川は食堂を出て行った。
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