side 遼介 俺と鼓のの部屋のベランダには、ちょっとした野菜が植えられている。 つーくんと一緒に育てたくて、と俺のわがままで買ってきたものだ。 鼓と子供が出来ない分、2人で育てた野菜は可愛いだろう、そんな気持ちだった。 ｢もう、先輩！適度に水を上げてくださいってば！｣ 育ててみてわかったこと。 (子育ては大変だなぁ......) ということ。 ｢お世話はしないのに収穫とか味見ばっかりして！｣ ぷりぷりと怒る鼓。 それもそのはず。 最初頃こそ可愛かった野菜は、だんだんと水をあげるのがめんどくさくなり、最終的には鼓に任せっきりになってしまったのだ。 収穫や味見は楽しく、その時だけ寄ってみればとうとう鼓に怒られてしまった。 ｢次からあげませんから！｣ そう言いつつも鼓は俺の口にプチトマトを入れてくれる。 ｢ありがと。...やっぱり、つーくんが作ったものは全部美味しいね｣ 何の気なしに口から出た言葉。それに鼓はボンッと音を立てて顔を赤くした。 ｢そうですか...｣ 照れてるのかな？ 今日も鼓は可愛いかった。