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Anniversaire 4
「おい、静かに……、んっ」
注意している途中、まさか唇を奪われるなんて。
ぴちゃぴちゃと音をたて、舌を絡ませる。
「ん、んぅ」
やめろとその身を離そうとするが、後頭部を押さえられ吸われた。
力が抜けて崩れそうになった所を、咄嗟にテーブルで支える。
「てめぇ」
意外と肉食。濡れた唇を手の甲で拭う。
キスに感じてしまった自分が憎らしい。
「だって、龍之介さんからお祝いしてもらえるとは思わなくて。嬉しくて自分を抑えきれませんでした」
「ふざけんな。帰れ」
出て行けと払うように手を動かす。
「ケーキを食べたら帰ります」
ご機嫌な関町にムカついて特別にのせてやった苺を摘まんで口に入れた。
「あ、俺の苺」
「煩い」
「返してもらいます」
再びキスをしようとするので、今度はそれを拒むように両頬を挟んで押さえる。
「調子に乗るな。食わせねぇぞ」
「らでしゅ」
嫌ですと言いたかったのだろうが、手で挟まれているので呂律が回らず舌足らずとなる。
「不細工な顔」
「ひろぃ~」
今度は酷いか。眉を下げ、しょぼくれた顔をする。
「今後、俺に手を出したら、問答無用で叩きだすからな」
本来なら部屋からただき出されても文句を言えない所だ。いつもイケメンな関町の不細工な顔を見た為か、少し溜飲が下がったのでそれだけはやめておいてやることにした。
「ふぁい」
しぶしぶと返事をする関町の頭を叩いて手を離してやった。
食事を終えても帰ろうとしない関町を追いだし、暫くして清美がケーキを取りに部屋へときた。
「ごめんねぇ」
お詫びとワインの入った袋を手渡される。しかも良い品を渡すものだから怒るに怒れない。
「ワザとだろ」
「ばれたか。ナっちゃんがね、関町君にお誕生日のプレゼントしたいって。ママ、大賛成しちゃった」
清美は実の弟よりも関町なところがある。しかもナツメも一枚かんでいるとは。これが可愛い姪っ子の為に頑張った叔父に対する仕打ちなのかと嘆く。
「もう、誕生日を祝ってやらないからな」
「やだぁ、龍ちゃんのケーキが食べられないなんて、姉ちゃんもナっちゃんも悲しいよぉ」
泣きまねをする清美に、ナツメの為に取っておいたケーキを食べやすいようにカットして箱に詰めた。
「まったく。ほら、ナツメに」
「わーい、ありがとう。食べるの楽しみ」
調子の良い。
だが、昔から憎めない姉だ。
「さてと、帰るわね」
清美は車できており、地下の駐車場まで送っていった。
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