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第15話

「俺のことはいいから皆と遊んできなよ」 「なんで?俺はお前と居たいからいるんだ」 「でも、俺と遊んでばっかじゃんか、皆から付き合い悪いやつだって思われちゃってるよ」 「他のやつにどう思われたっていいよ、お前が俺の一番だから」 「い、一番って、、! じ、尋は優しいよ、、 俺も、、尋みたいに笑ってるつもりなんだけど全然うまくいかない、皆と仲良くしなきゃいけないのに」 「なんで?無理して笑うことはないだろ? あいつらとだって無理に付き合わなくていい」 「でも!」 「それに七海は七海なんだから変わらなくていいんだよ」 俺の言葉遮るように優しくそう言って笑いかけてくれる尋にまた胸が高鳴ってしまう この気持ちって------------- ジリリリリーーーーーーーーー 耳障りな音が鳴り響いて反射的にバンっと目覚ましを止める 「ゆ、めか、、、」 随分懐かしい夢を見てしまった あれはまだ俺達がちゃんとまだ親友だった頃 まだ尋が俺に笑顔を見せてくれていた頃 まだ俺が恋を自覚していない頃 大学生になってから初めて尋が夢に出てきた 高校に入ってはじめの頃はしょっちゅう夢にでてきた、でもそれは決まって尋に話しかけても無視をされてしまう夢だったり、罵倒される夢ばかりだったのに 「なんで、今更あの頃の尋の夢なんて見たんだろう」 尋が夢に出てきたのはきっと昨日の事があったから でも、親友でいてくれた時の夢を見たのは不思議だった もしかしたら、という もしかしたら、いつか前みたいに戻れるかもなんて考えは捨てたはずなのに それに、もう一生会うことはないって思っていた 会っちゃいけないって思ってたのに 「バイト先、変えたほうがいいのかな」 そう呟いて、パッと浮かんでくるのはアイツの顔 バイトを辞めちゃったらアイツとの繋がりがなくなってしまうかもしれない それは絶対に嫌だ!!! 何とかして、尋に、俺だって知られないようにしなきゃ! だ、大丈夫!前に比べて少しは垢抜けたし、同姓同名の奴って思うよ! 動揺して何故か意味不明に自信が湧いてきた そして鏡の前で自分の目を見て唱える 「大丈夫だ!七海、お前はナナミだ!」 少しだけ悲しい気持ちを頬の痛みでかき消すようにパチンと顔を叩いて気合を入れた そして来てほしくはなかった再会の日 やっぱり、相手はあの尋で、 多分尋も俺に気づいた オーナーが、じゃああとはよろしくねって俺に尋を任せて 休憩室で尋とふたりきりで顔合わせ バレないようにしようって思ったのに 「七海、だよな」 俺の考えは甘かった 「え、?い、いや、ち、ちがいます!!」 動揺しながらも答えたけれど尋には効かなくて 「同姓同名で見た目も中身も大塚七海なのに、違うって言えねえだろ」 呆気なくバレた そして尋が近づいてくる なんか言わなきゃいけない、 でも何も言葉が出なくて俺はただ見つめる事しかできなくて、でも痺れを切らした尋が 「おい、なんとか言えよ」 少し声を荒げて俺に掴みかかろうとしたとき バンっと休憩室のドアが開いた その音が部屋に鳴り響いて驚いた尋と俺は同時にドアの方を見る 「おいおい、なーに俺のかわいい後輩いじめてんの〜新人くん」 え、まって、なんで 心の中で思っても声には出なくて、 ズカズカとアイツは俺達に近づいてきた 心臓がバクバクとうるさい 「き、きょう、休みじゃ、」 やっとの思いで声が出た俺に 「お前が心配で来ちゃった♪」 アイツはそう言って意地悪な笑顔を俺に向けた

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