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――混血め! ――呪いだ! ――(たた)りの子じゃ! ――出て()け!  生を授かり、途端に罵詈雑言を浴びせられ、集落も追い出され、唯々(ただただ)彷徨(さまよ)うしか出来ぬ(わらべ)があった。  其の童は金色の髪と空の様な(まなこ)を持っており、人々は其れを(おそ)れた。故に童は此の世に自分が在る事が忌わしき事だと解ると、自然に「死」という世界を選択する。 「(まこと)に其れが最良か。」  (しかばね)の様相であった童は皺の多い手に引かれ急勾配な山を登らされた。頂上の付近には世辞で美しいとは言えぬ寺がぽつりと佇んでおり、童は寺に踏み入れた。  皺の多い僧侶は童の眼から青成(せいじょう)という名を与えた。  同じ年端の少年達と共に「龍王(りゅうのう)寺」なる寺で生活を始め段々と順応する。少年達は例外なく戦禍(せんか)飢饉(ききん)の災難にて口べらしにされ()てられた者ばかりであった。傷だらけの者、眼を失った者、言葉を知らぬ者などと様々で青成が忌み嫌われることはなかった。  なれども、其れは名付け親が永き眠りにつくと終わりを告げた。 「(うぬ)はこうして死すか、それとも(あや)めるか、どちらかひとつじゃ。」  下卑た僧侶が寺を掌握し、青成の眼前では寝食を共にした少年が、忍んでやって来た高貴な着物を召した大勢に辱めを受け、大勢の嗜好の為に絶命していた。  この(とき)、青成は決した。 「鬼になりましょう。」と。

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