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太古の昔、僕は星に恋をした。

3000年も前のお話。 僕はある国の王子だった。 おそらく文明も他の世界の国々よりも発達していた。 「カムラ!」 可愛い声が僕に声をかける。 「ナジュム」 同じ褐色の肌に、黒い濡れたような髪、瞳は夜空を映したような濃紺。 その瞳はキラキラと彼の名前のように星が宿っているようだった。 幼い時から兄弟のように育った僕らは、幼い時から常に一緒にいた。 周りからも「まるで本物の兄弟のようだ」と言われていた。 歳を重ね、15、6になった頃、僕らは互いを意識し始めた。 僕は武術が得意で、ナジュムは頭が良く、周りからは良い主従関係だと言われた。 本当は陰に隠れて、密事を交わしていたなんて、誰も知らなかっただろう。 けれど、王として己の責務を全うする時が来た。 父の弟の娘を妃とし、初めて女と事を成し遂げた。 その間もずっとナジュムのことを想っていた……想っていたのに。 王として統治して5年たった頃、ナジュムが流行病に倒れた。 伝染(うつ)ってはいけないと、周りに止められ、見舞いにもいけなかった。 ……彼は本物の星になった。 彼が死の淵に立たされ、最期に呟いた名前が僕の名前だと知った時、周りの反対を押し切ってでも会いに行けばよかったと激しく後悔した。 その後悔が、僕をおかしくした。 僕はナジュムの遺体を王宮の地下に置き、ナジュムを抱き締めながら、毎晩眠った。 腐らないように防腐剤を塗ってあげた。 周りからは、僕がおかしくなった、気が触れたと言われ始め、親族たちが僕の暗殺しようとした。 少しずつ盛られていた毒に、本当は気づいていた。 けれど、他人に殺されるくらいなら、ナジュムの毒に侵されたい。 ある晩、僕は防腐剤を塗ったナジュムの唇にキスをした。 本当は生きている頃にたくさんしてあげたかった。 僕が死んだ後、ナジュムの遺体を引き剥がしたが、様々な天変地異があり、僕の怒りだと勘違いした人々が、ナジュムと僕を一緒のお墓に入れてくれた。 けれど、死後の世界でナジュムの魂が僕のお墓に縛られていることを知った。 自由になるはずの魂。 僕は彼を縛り付けてしまった。 それが、僕の罰。 僕はミイラ男になって、罪を償い続けている。 ラン、君と出会った時、少しだけ君がナジュムに似てて、それで声をかけたんだ。 ナジュムと重ねていたところがあったけど、今は、君そのものが好きだ。 ふふっ、そっけない態度とってもダメだよ。 尻尾が揺れてる。 もう君とナジュムと重ねないように、ナジュムを縛り付けないように、さよならを言いに行ったんだ。 もう君を一人にしないからね。 終!

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