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第14話

 西園寺がリザーブした部屋は内露天風呂のついた贅沢なもので、今回の旅行にかかった費用の殆ども彼が賄ってくれるとあって周防は感謝と遠慮で胸が熱くなった。  自分も費用を持つと言っても聞き入れてはくれず、今般の誘い文句でもあったように「淋しい思いをさせた詫び」と「恋人らしいことをさせてくれ」のダブル攻撃に同じ男なのにだとか考えていた己の小ささを恥じ、同時に彼の器の大きさを知り惚れ直した。  そうとなれば遠慮などしていては勿体ない、周防は西園寺の手をひくと大浴場に向かう。たっぷり湯を堪能したあとは、ふたりしてマッサージを受け骨抜きとなる。  部屋では仲居たちが夕食と布団をセッティングしており、程なくして戻ってきたふたりはテーブルに華と咲く郷土懐石に舌鼓を打つ。  酒も入りほろ酔いとなった周防は、とろりとした瞳を潤ませている。肌蹴た浴衣からのぞく婀娜やかな柔肌は朱に染まり、彼が具えた煽情的な魅力に西園寺は恍惚となった。  前日に何度も交わったというのにすでに西園寺の下肢は血流が滾り、下着のなかで張りつめ痛いほど。いい歳をした親父という自覚があるだけに、けれど我ながら節操のない自身と元気さには苦笑するしかない。  しかしながら据え膳喰わぬばとの先人の教えに則り、己が本能と欲望の赴くまま周防を抱き上げると、翠帳に足を踏み入れ痩身を組み敷いた。

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