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第10話

「姉からよく時任さんのことを聞いていました。初めのうちは友達の旦那は最低の屑だと言ってましたが、それから少しすると評価が変わってきまして。 正確には”屑の悔しがる顔が可愛い”みたいな方向に変わり、今朝は”泣き顔が見たい”と言って家を出ていきました。昔から姉って好きなひとを虐めて楽しむ趣味がありまして」 「あのひと性格が悪いんです」と困ったように話す彼の言葉に俺はショックを受けた。  これまで散々俺を罵ってくれたアレやコレすべて楽しんでたってことか。腹が立っても自分が悪いと思い我慢してきたのに、それらは魔女の思うつぼだったってわけだ。  あのアマ……殺意が湧く。  わなわなと震え怒りに燃えている俺に尚も衝撃的な真実を聞かそうと彼が口をひらく。 「今でこそ姉は丸く慎ましいキャラになりましたが、学生時は友人の彼氏を寝取るようなことを平気でしていました。あなたの奥さんとは馬が合うようで、姉なりに自粛していたようですが……。 やはり悪い虫が疼くのでしょうか、どうやら時任さんをターゲットにしたみたいですね。奥さんは知らないようですが、姉の本性は奪略キラーですから要注意です」  顛末を話し終えると「ふう。ああ、すっきりした」と清々した表情で息をつき、コーヒーを飲む魔女の弟。  俺いったいこの家に何しにきたんだっけ。殴り込みに来たはずなのに、逆に自分の身を危険に晒しに来ただけでは。  じわりと背中が汗ばむ。ヤバい今すぐ逃げろ俺。でもそのまえに─── 「それは何か色々とヤバそうな姉貴だね。じゃあ俺そろそろお暇しようかな。最後にきみの名前教えてくれるかな」  立ち上がり彼のとなりに座り直すと俺必殺の熱っぽい眼を向ける。

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