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第17話

 話がこじれると面倒だ、共有財産のことは両親には内緒にしておくか。結局はまだ俺も嫁に未練があんのかな、ゴミみてえに扱われてんのにな。切ねえな、おい。  結局はひとりでは決めらんなくて、弁護士にアドバイスをもらうことにした。すると返ってきた言葉は「共有資産を慰謝料として渡しては」というものだった。  自分の貯金を崩して支払うよりも手っ取り早く、しかも損した気持ちにならなくていいうえ清々しいと。いや、どこから払おうが出所は俺じゃねえか。  この弁護士大丈夫か、心配になってきたぞ。けど目からうろこなことを教えてくれたよ。「内容証明には共同貯金のことには触れていなかった」と。  そういや俺も見てねえ。あのアマ……嫁のくせにネコババする気だったなチクショー。  ひとかけらあった嫁への愛情も一瞬で消え失せたぜ。  慰謝料をぼったくった挙句に共有財産までがめようなんざ、妻として人としてどうなんだ。そりゃあ俺が浮気しまくってあいつを傷つけてきたのは認める、けどだからって根こそぎ金をむしり取ろうとか鬼で確定だろ。  弁護士には共同貯金の預金額の提示及び、慰謝料支払い後の残金の返金を求める旨を依頼した。そしたら俺たちは晴れて他人に戻る───  離婚して一か月がたった。  金銭で揉めて腹も立ったが、最後はスタートした日に戻って終わらせようということで、ガキを嫁親に預け夫婦として一日水入らずのデートを楽しんだ。  もっとギスギスとした嫌な気持ちになるかと思いきや、これで最後だと思えば名残惜しさが生まれてくるもんで。嫁も始終ニコニコとして俺のとなりを歩いてたしな。  役所が終わるまえに離婚届をふたりで提出。それから初めてデートした場所にいきさよならを告げた。もっとも初めての場所つったらラブホだけどよ。  けど嫁の腹にはガキがいんだ、最後まではシなかったけど──満足はした。  それからアパートまで送ってやって、握手をして別れた。これで俺たち夫婦のストーリーは終わり、だけど子供という絆は切れるもんじゃねえ。いつまでもつづいてく。  ごめん。それからありがとう。これからもよろしくな──────

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