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第32話
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同棲生活は順調そのもの。
末っ子長男として育てられた音稀は、「今どきの男は家事や育児を率先しておこなえる技量を身につけるべき」と、母親と姉貴から掃除や料理を叩き込まれたそうだ。
その躾は百二十パーセントの威力を発し、いつも部屋は綺麗だし風呂もピカピカ、俺のスーツの手入れもかかさずカッターシャツはアイロンがけまでしてくれて俺超感激。
んで最強なのが音稀のつくる料理だ。マジでメシウマ。一汁三菜っての? 和食は旅館並のクオリティー、お子ちゃま口の俺のために洋食までつくってくれる。
オムライスにケチャップでハート描いてくれた日には泣いたね。すんげえ嬉しくてテンションあがった俺は、お返しにベッドで音稀を啼かせてやった。
まだ大学に通えない音稀は、とにかく俺に尽くしてくれた。それはもう痒いところに孫の手が届きまくりなぐれえ世話してくれる音稀に、すっかり甘えてしまっている状態だ。
俺は家計のやりくりとか面倒でどんぶり勘定になっちまう、だから元嫁んときも金の管理は任せ小遣い制にしてもらっていた。
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