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第33話
当然のように音稀と同棲を始めたときも、「給料の管理はしてください」「小遣い制でお願いします」「できれば三万以上、それに色を付けてくれたら感謝します」「一日一回頭を撫でてくれると喜びます」と要望。
初めは戸惑っていたようだが、「音稀は俺のパートナーだからな。信頼してるぜ」という態度でいると納得してくれたのか、きっちり家計簿つけて頑張ってくれている。
音稀に預けた通帳の預金額はうなぎのぼり、数字を見せてくれた日にはビビったね。遠慮しねえでも小遣いとして音稀も好きなもの買っていいぞと言っても、欲しいものないからとすべて貯蓄に回しているようだ。
謙虚で慎ましやかな嫁もらったな俺、主夫力あるわ床上手だわラッキーじゃね? と俺大満足。女と違い男同士ダチ感覚でつき合えるの気楽で楽しいしよ。
けどさすがにフェアじゃねえ。こいつとは一生をともにしたいなと初めて思えた相手だ、なら音稀には家でも買ってやろうかとまだ漠然とだが考えている。
そんな幸せ絶頂、平和ボケしている俺らに降りかかってきた不運。
深めつつあった絆にヒビを入れようと、やつらはあの手この手で阻害を開始。容赦なく俺たちはピンチに立たされちまう日が訪れようとしていた。
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